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皮膚糸状菌症とは?

真菌(カビ)が皮膚・毛に皮膚糸状菌が感染し、皮膚のかゆみ、フケ、脱毛といった事を起こす感染症の総称を皮膚糸状菌症といいます。

皮膚糸状菌は主にケラチン(毛包・皮膚表面の角質・爪などに存在するタンパク)に感染します。

皮膚糸状菌の種類はいくつかあり、Microsporum canis、Microsporum gypseum,Trichophyton mentagrophytesなどがあります。Microaporum canisがもっとも一般的で、犬では約70%、猫では約90%がこの菌種が原因とされています。

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皮膚糸状菌症の症状とは?

猫では糸状菌に対して炎症反応を示さないことが多く、被毛への感染により切れた毛や色素性脱毛班がよく認められます。

ペルシャ猫は、毛包寄生に対して炎症伴うことがあり、粟粒性皮膚炎を認められます。

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犬では炎症反応を認めることが多く、毛包炎による丘疹と脱毛が認められます。

ヨークシャテリアでは広範囲に落屑性脱毛を認められます。

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糸状菌は環境に存在する真菌(カビ)であり、糸状菌に接触すること、また罹患動物や保菌動物との接触で感染します。ただし、健康的な皮膚の犬・猫は皮膚バリアで守られているため感染しにくくあります。皮膚バリアの低下を引き起こすことで感染しやすくなります。その原因として、若齢・高齢・内分泌疾患・免疫抑制剤の投与などが挙げられます。

皮膚糸状菌症の検査は?

ウッド灯

Microaporum canis は長波長の紫外線を照射するウッド灯を当てることでアップルグリーンに発色します。ただし、フケや瘡蓋も発光することがあるので、被毛が発光しているかを確認する必要があります。他の菌種は発色が認められません。光を当てるだけで簡便に行える検査ですが、感染していても蛍光を発しない場合もあるため、光らなかったからといって感染を否定することはできません。

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抜毛検査

ウッド灯で発色した部位の毛を抜き、顕微鏡下で毛に菌体が感染しているかを確認します。感染している場合、膨化した被毛と周囲に菌類の特徴である分生子を確認することができます。

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培養検査

専用の皮膚糸状菌鑑別用培地(※)を使用し、被毛の一部を採取して培養し、真菌の生え方、培地の色の変化で診断を行います。菌種の特定の際、治療のモニタリングとして使用します。
※微生物や細胞などを培養するために必要な栄養等の環境を調整した物質のこと

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皮膚糸状菌症の治療は?

全身療法

抗真菌薬・イトラコナゾールを使用する内服による治療方法です。

1日1回服用し、投与期間は8−12週間程度が必要です。

臨床症状が消失したのちは、真菌培養検査で陰性になっていることを確認します。

局所療法

抗真菌薬含有外用薬を用いた治療方法です。

皮膚糸状菌は被毛に感染するので、病変部位周囲6cmの毛を事前に刈っていく必要があります。

外用薬は1日2回病変部に塗布します。犬・猫は被毛に全身覆われているため、全身的にケアする必要があり、週2回2%ミコナゾール含有のシャンプー剤(マラセブ)で丁寧に洗います。シャンプーすることは感染した被毛を除去することには適していますが、抜け落ちた被毛の処理により再び感染源を発生させることになるので注意が必要です。

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繰り返す、治りづらい皮膚糸状菌症

上記で述べたように、健常な子の場合、皮膚バリアの存在により皮膚糸状菌には感染しにくい状態が保たれています。ですが、何らかの原因により皮膚バリアが低下してしまうことで、皮膚糸状菌などの感染症に感染しやすい状態になってしまいます。

その原因を追求し、特定することが皮膚糸状菌症を治療していくことで最も重要です。原因として若齢・高齢・内分泌疾患・免疫抑制剤の投与などが挙げられ、身体検査・生活環境を確認する他にも、内分泌疾患の検査のために血液検査などが必要になる場合もあります。

 

また環境中に皮膚糸状菌の胞子が残っている場合、その胞子からまた感染する恐れがあります。そのため、環境をしっかり清掃し、胞子が残っていないかを真菌培養検査で確認していく必要があります。皮膚糸状菌の消毒には、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、熱水等が有効です。

皮膚糸状菌症は
人獣共通感染症です

皮膚糸状菌症は人にも感染する病気です。

皮膚糸状菌に感染した犬・猫と接することで人に感染してしまうことがあります。ご自身や同居家族の皮膚に赤い円形の皮膚炎(リングワーム)が生じた場合は、さらに周りへと感染を広げてしまう恐れがあります。その際は、必ず皮膚科に受診をお願いします。

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