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【症例紹介】ケンネルコフ

こんにちわ!獣医師の玉貫です。


獣医師コラムでは、当院でよく診られる症例をご紹介していきたいと考えております。

今後ご紹介していく中で、おうちの子の日頃の健康管理で、もし心当たりのある症状や仕草があったら、早期発見早期治療にお役立てていただけますと幸いです。


さて、本日はケンネルコフについてご紹介させていただきます。


ケンネルコフって病気を聞いたことはありますか?


ケンネルは「犬」

コフは「咳」


という意味ですね💡



いろんな種類のウイルスや細菌が単独または複合感染する事で、ワンちゃんに気管気管支炎を起こす病気です。別名、犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれます。 主な病原体は、 犬アデノウイルス2型 犬パラインフルエンザウイルス 犬ヘルペスウイルス レオウイルス 気管支肺血症菌 マイコプラズマ が原因と言われています。 近年では、上記のアデノウイルスやパラインフルエンザウイルスのワクチンがあるにもかかわらず、それでも発生することは多い病気です。理由としては、予防できる病原体以外で原因となる菌やウイルスが様々なことが挙げられます。犬の呼吸器疾患の中でもよくみられる疾患として有名です。 ただ全ての子にみられるわけではなく、まだ免疫力がしっかりとしていない幼若齢(生後数ヶ月)のワンちゃんに多い病気です。当院でも、まだワクチンプログラムが終了していないような子犬ちゃんたちがたくさんご来院されますが、その中でも最もよく診られる病気です。家にお迎えして間もない子がおうちでコンコンと咳をしていたらケンネルコフを疑いすぐに相談していただきたいと思います。


【ケンネルコフの主な症状】


軽症の場合

①乾いた咳 ②鼻水 ③微熱(39.1℃〜39.5℃)


中程度〜重度の場合

①湿った咳(喉の音がコポコポ、痰が絡んだような咳、1日通して咳をしている) ②高熱(39.6℃〜40℃以上) ③肺炎 ※体温はあくまで目安です。正常でも興奮などによって高体温になることがあります。

ほとんどは軽症でみつかる事が多いです。しかし、軽度の場合は元気・食欲がすごくあったりするので様子を見てしまいがちなこともあります。長期間様子を見ていると重症化して命に関わる事もあるのでやはり咳が気になったらすぐ教えてもらえると良いですね。 では実際この病気にかかったらどのような治療をするのか、紹介していきたいと思います。

当院では以下の治療を行います。



【ケンネルコフの主な治療】

①抗菌薬(経口薬または注射薬) ⇨咳の原因となる菌や菌の二次感染を抑えます。

②気管支拡張薬(経口薬または注射薬) ⇨気道を広げ呼吸を楽にします。

③噴霧療法(ネブライザー療法) ⇨喉に潤いを与えます。また抗生剤などの薬液を霧化して気管支や肺におくり直接作用させます。薬液を細かい霧状にすることで、薬剤を呼吸と一緒に気管や肺、鼻の奥へ送り込むことができます。




④鎮咳薬(経口薬または注射薬) ⇨若齢の子で使用する事は少ないですが、咳が酷く食欲でない場合や眠れない場合は使用する事もあります。 (薬の使用や組み合わせは症状から判断し、①〜④を調節して行っています。)



ケンネルコフは基本的に1週間程度で症状が改善する事が多いですが、喉の菌がいなくなりきるまでは早くても2週間はかかると言われており、薬もしっかり2週間続けることをおすすめします。 若齢の子で多いと言いましたが、もちろん成犬や老齢の子でも発症する事があります。 咳等の症状で気になる事がありましたら聞いていただくのが一番安心かと思いますので、なんでもお気軽にご相談くださいね。



アリアスペットクリニック

獣医師

玉貫

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