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犬の免疫介在性多発性関節炎
症例
整形外科
犬の免疫介在性多発性関節炎は、犬の複数の関節に自己免疫反応(本来は外敵に対する免疫が自分の組織に反応してしまう)が起こることで、滑膜(関節を包む膜)に炎症が生じる疾患です。
【病態】
滑膜に炎症細胞が浸潤し、関節液が増加
炎症により関節が腫れたり、痛んだりする
複数の関節が侵される
【主な症状】
歩きたがらない、跛行
関節の腫れ・熱感・痛み
発熱(特に原因不明の繰り返す発熱)
元気消失、食欲不振
朝に硬直が強い(人のリウマチに似た症状)

【診断】
身体検査・整形外科検査:複数の関節の可動域制限や腫脹、痛みを評価
血液検査:炎症マーカー(CRP、白血球数の増加)の上昇、他の疾患の除外
自己免疫疾患関連の検査(例:ANA、抗核抗体など)
関節液検査:関節液内の** 細胞数や種類を調べる
X線検査(レントゲン):**関節周囲の腫脹、骨増殖像
超音波検査:リンパ節腫脹確認、その他疾患の除外
【治療】
免疫抑制療法:プレドニゾロンなどのステロイド、免疫抑制剤など
症状に合わせた対症療法
痛みや炎症のコントロール:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)など
【まとめ】
免疫介在性多発性関節炎は、適切な治療を受けることで多くのわんちゃんで改善が見込めます。
ただし、完全寛解までに数か月以上かかることが多く、非常に再発しやすい疾患のため治療の中断や減薬時に再燃することもあります。
また、慢性化すると関節の変形や機能障害が残ることもあるため、早期診断・治療が重要な病気です。
初期症状では強い痛みを伴わず、気が付きにくいことも多いため、歩き方の違和感やなんとなく元気がない様子が続く場合は早めの受診をお勧めします。

