top of page
02-01-group_Mono_edited.png

気管虚脱

症例

呼吸器科

最近、愛犬が「ガーガー」「ケホケホ」と苦しそうな咳をすることはありませんか?

それはもしかすると「気管虚脱」という病気のサインかもしれません。

今回は、特に小型犬に多く見られるこの気管の病気について、わかりやすくご紹介いたします。

ree

気管虚脱とは?

気管は、のどから肺へと空気を送る大切な“空気の通り道“です。本来、気管は硬い軟骨のリングで支えられており、呼吸のたびに潰れることはありません。

しかし「気管虚脱」の場合、この軟骨が弱くなることで気管がつぶれ、空気の通りが悪くなってしまいます。その結果、独特な「ガチョウの鳴き声のような咳」が出たり、呼吸が苦しくなることがあります。



どんな犬種に多いの?

以下のような小型犬種に多く見られます

  • チワワ

  • ポメラニアン

  • ヨークシャーテリア

  • トイ・プードル

  • マルチーズ

  • パグ・シーズー など

また、中高齢犬や肥満傾向のある子では、発症リスクがさらに高くなります。



原因は?

明確な原因は解明されていませんが、主なものとしては遺伝性によるものと考えられています。


そのほかには、気管の構造的な異常や、年齢により弾力性を失うことで生じたり、環境的影響が考えられています。



主な症状は?

  • 「ガーガー」「ケホケホ」という咳(特に興奮時・運動後)。

  • 呼吸が荒くなる、苦しそうに見える。

  • 寝ているときに咳き込む。

  • 舌が紫色になる(チアノーゼ)。

症状が進行すると、日常生活にも支障が出てくることがあります。



ステージ分類は?

気管虚脱は症状の度合いにより、4つのグレードに分類されています。

  • グレード1…気管の直径の減少率が25%ほどで、症状としては軽症。

  • グレード2…気管の50%ほどがつぶれた状態で、中等症。

  • グレード3…気管の75%ほどがつぶれてしまった状態で、かなり重症。

  • グレード4…気管の内腔が殆どなくなるほどつぶれてしまった、最も重症の状態。



診断と検査とは?

気管虚脱の診断には以下の方法が用いられます

  • 身体検査・聴診

  • レントゲン検査

  • 必要に応じて気管支鏡検査や心臓の超音波検査


呼吸器疾患は咳の音や呼吸の様子から判断することも多く、お家での様子を動画で見せていただくことも重要です。


治療法は?

症状の程度によって治療方法は異なります。


軽度の場合(内科的治療)

  • 咳止め・気管支拡張薬の投与

  • 抗炎症薬(ステロイド)の使用

  • ダイエットや生活環境の見直し


重度の場合(外科的治療)

  • 気管ステントの挿入

  • 専門施設での外科手術

手術が必要になるケースは限られていますが、改善が期待できる治療法も存在します。


予防、対策は?

  • 肥満予防(適正体重の維持)

  • ハーネスの使用

  • 激しい運動や興奮を避ける

  • 室内の温湿度を快適に保つ(乾燥・暑さに注意)

bottom of page