
乳び胸
症例
呼吸器科
乳び胸とは?
乳び胸とは、胸の中の空間に乳びという、腸管から脂肪を吸収した際に生じるリンパ液が貯留する疾患です。
乳びが胸の空間に貯留することで、肺や心臓の働きを阻害し呼吸困難などの症状が生じます。
原因は?
多くの場合は原因のわからない特発性が多いとされています。
そのほかには
胸管の損傷などによる機械的障害
心臓疾患や、腫瘍などによる圧迫・閉塞
炎症から2次的に生じるもの
先天的な奇形
感染症
などの 要因があります。
症状は?
乳び胸になった際に見られる症状には
呼吸が苦しい(呼吸困難)
舌の色が紫っぽい(チアノーゼ)
元気がない
食欲がない
などがあります。

乳びが貯留した状態が継続すると肺の繊維化や胸膜炎といった障害につながり、より呼吸困難などを悪化させます。
診断は?
診断にはレントゲン・超音波検査などの画像検査で胸水貯留の有無、腫瘍や心臓拡大の有無の確認が重要です。


胸水が貯留している際には胸水を一部抜去して成分を調べることも重要です。
また、当院では設備がないため他院への紹介が必要となってしまいますがCT検査などのような画像検査を実施することで、より正確に乳びが貯留する原因を調べることが可能です。
治療は?
①内科療法
特発性の場合には内服薬やサプリメントの内服や、低脂肪食などが用いられるケースが多いです。
何かの病気が原因となり、乳び胸となっている場合には原因となる疾患への治療介入が必須となります。
また根本的治療にはなりませんが、胸水を抜去することで一時的に呼吸状態の改善を実施することができます。
内科療法を継続しても大きな改善が一定期間認められない場合には外科療法による治療介入が必要となります。
②外科療法
再発を繰り返すものや、特発性に対しては外科療法を実施します。
様々なやり方がありますが、近年では複数のやり方を組み合わせることで手術の成功率が向上すると報告されてます。
おおよその手術の成功率は50−80%と言われています。
予後は?
特発性の乳び胸は再発しやすい疾患であり、慢性化すると肺の繊維化などに転じて呼吸がより悪化し亡くなってしまうこともあります。
繰り返すほど予後は良くありません。
2次的に生じる乳び胸は原因の疾患の治療反応によって予後は変わってきます。

まとめ
乳び胸は胸に乳びが貯留してしまう疾患であり、呼吸が苦しくなってしまいます。
乳びが貯留した状態が継続すると他の疾患へとつながりさらなる悪化を誘発する可能性もあるので発見した場合には早期の診断・治療介入が必須となってきます。
何か心当たりがありましたら当院でもお気軽にご相談ください。