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潜在精巣

症例

小児科

潜在精巣(せんざいせいそう)、または陰睾(いんこう)とは、精巣が正常な位置である陰嚢内に下降せず、腹腔内や鼠径部などに留まってしまう先天的な疾患です。犬では比較的よく見られますが、猫にも発生することがあります。


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原因

潜在精巣の主な原因は遺伝的要因と考えられています。精巣が胎児期に腹腔内から陰嚢まで下降する過程に異常がある場合に発症します。特に小型犬や一部の犬種(トイプードル、チワワ、ポメラニアンなど)では遺伝的素因が強いとされています。




症状

外見上、陰嚢の片側または両側に精巣が触知できないことで発見されることが多く、無症状のまま経過することもあります。ただし、潜在精巣のまま放置すると、以下のようなリスクがあります:

  • 精巣腫瘍(セルトリ細胞腫、間質細胞腫など)の発生率が高まる

  • 精巣が腹腔内にある場合、腹腔内で捻転を起こし激しい腹痛やショックを引き起こす可能性がある

  • 不妊の原因になることがある

  • 男性ホルモンの影響による攻撃性の増加や行動異常



診断

診断は主に以下の方法で行います:

  • 身体検査:陰嚢内の精巣の有無を確認し、鼠径部や腹部を触診

  • 超音波検査:腹腔内や鼠径部にある精巣の確認に有効

  • X線検査:腫瘍化が疑われる場合に補助的に用いることがある

  • ホルモン検査:まれに外見上判断が難しい場合に活用



腹腔内で腫瘍科した潜在精巣
腹腔内で腫瘍科した潜在精巣


治療

治療法は**外科的摘出(去勢手術)が一般的であり、以下の目的で行われます:

  • 腫瘍化の予防

  • ホルモン関連行動の制御

  • 遺伝的要因を次世代に引き継がないようにするための繁殖制限

摘出手術は通常、健常な側の精巣とともに両側を同時に摘出します。腹腔内にある精巣は開腹手術で除去します。

このように、犬猫の潜在精巣は一見無害に見えることもありますが、長期的な健康リスクを防ぐためにも、早期の診断と適切な治療が重要です。繁殖を考えている場合は、遺伝的な観点からも注意が必要です。

もしうちの子が潜在精巣では?と気になりましたら当院までご相談ください。

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