top of page
02-01-group_Mono_edited.png

胆嚢粘液嚢腫

症例

消化器科

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)とは

胆嚢内に固くなった粘液が蓄積して、胆嚢が大きく拡張する病気で、比較的高齢のワンちゃんで見られます。過剰な粘液の貯留によって胆管が閉塞したり、胆嚢炎、胆嚢破裂などを引き起こしたりします。腹痛や嘔吐、食欲不振などの症状が見られ、明らかな症状を伴う場合には外科手術での回復を目指します。


胆嚢とは

胆嚢とは、肝臓のすぐそばにある袋状の臓器です。胆嚢は胆管という管で肝臓、十二指腸とつながっていて、肝臓で作られる胆汁と呼ばれる脂肪を分解する消化酵素の一種を蓄えて濃縮し、十二指腸へと排出する役割を持っています。この胆汁は通常はさらさらとした液体で、胆嚢に過剰に貯まってしまうことはあまりありません。





原因

何らかの理由で胆汁がドロドロとした性状に変化すると、胆嚢から排出されにくくなり蓄積するようになります。いまだはっきりとはしていませんが、胆汁が濃縮されすぎることでドロドロになったり(胆泥症)、胆嚢の内側で分泌される粘液が過剰になったりすることが原因と考えられています。また、間接的な原因として、ホルモンの病気(副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症)、高脂血症などがあると言われています。


症状

軽度・・・無症状、時々の嘔吐、食欲不振 

粘液の諸流が少ないうちは無症状のことが多くあります。お家で様子を見つつ、気になった際には病院に連れて行きましょう。


重度・・・急激な食欲不振、腹痛、元気消失、黄疸(皮膚や粘膜の色が黄色い、尿の色が濃い黄色~オレンジ色)

   肝臓に深刻なダメージが出ている可能性があり、治療が必要となります

胆嚢が粘液によって完全に満たされると、胆嚢からあふれた粘液が胆管を詰まらせてしまったり、胆嚢炎、胆管炎を引き起こしたりします。内容物がパンパンに詰まった胆嚢は破裂することがあり、破裂すると胆汁がお腹の中に漏れることで腹膜炎を引き起こします。こうなると症状はより深刻になり、胆嚢破裂を起こした場合、おおよそ半数程度は生命にかかわる事態になると言われています。





好発品種

ミニチュア・シュナウザーやアメリカン・コッカー・スパニエル、シェットランド・シープドッグなどが好発犬種ですが、チワワやポメラニアンなど日本で人気の小型犬種にもごく一般的にみられる病気です。


診断

血液検査や超音波検査によって診断を行います。

①超音波検査

胆嚢内に異常がないか確認する検査で、胆嚢粘液嚢腫の診断には最も有用です。正常なサラサラした胆汁が溜まっている胆嚢は、濁りのない黒い画像(図①左)として写りますが、胆汁が固まって蓄積し始めると白っぽい塊が胆嚢内にあるのが観察されます(図①右)。胆嚢粘液嚢腫では、多数の白い筋が放射状に胆嚢内を埋め尽くしているような特徴的な画像が見られます。このような所見から胆嚢内の粘液の貯留の程度を確認します。

また、胆嚢から十二指腸につながる総胆管という管を観察することで胆管の閉塞がないか確認します。






【図①】胆嚢の超音波検査画像。上が正常、下が胆嚢粘液嚢腫で赤丸で囲まれた黒い部分が胆嚢。正常と比べると、胆嚢粘液嚢腫では胆嚢内が白く濁っていて大きく拡大している。




【図②】拡張した総胆管(赤矢印)と十二指腸(黄色〇)の接続部分。総胆管の直径が約9mmと正常(2-3mm)よりも大きく拡張し、総胆管の閉塞が疑われる。


②血液検査

生化学検査でALTASTALPGGTなどの肝酵素の上昇が認められます。

間接的な原因となる内分泌疾患や高脂血症がある場合には総コレステロールやトリグリセリド(中性脂肪)が上昇し、胆管閉塞がある場合には黄疸の成分であるビリルビンが上昇することがあります。胆嚢炎や胆管炎、胆嚢破裂による腹膜炎などがある場合には白血球数の増加やCRPの上昇がみられます。


胆嚢粘液嚢腫は初期には症状を伴わず、血液検査でも異常がないことがあり、健康診断などで超音波検査を行った際に偶然見つかることがよくあります。


治療法

①内科治療

胆管の閉塞がなく、症状がほとんど見られないような場合にはお薬を使った治療や食事療法を行うことがあります。胆汁成分の変化を改善するお薬で胆汁が固まるのを抑えたり、胆汁の排出を助けるお薬で胆汁が胆嚢に貯まりすぎないようにしたりすることで進行を防ぎます。また、内分泌疾患などの間接的な病気がある場合にはその治療を行い、低脂肪食を与えることで高脂血症を改善するなどの治療も行います。


②外科治療

胆嚢粘液嚢腫で胆嚢が完全に固まっている場合や胆管閉塞、胆嚢破裂などがある場合は、お薬での治療では回復しないことが多く、外科手術を行うことになります。

手術では粘液が詰まった胆嚢を取り除くのと同時に、胆管に詰まった粘液を洗い流すことで胆管の詰まりを取り除きます。


予防

早期発見のために、年1−2回の健康診断が重要。

食べ過ぎ(特に高カロリー、高脂肪)に注意しましょう。

加齢によってみられることが多い病気ですので完全に予防することは難しいですが、内分泌疾患や高脂血症など、関連する病気がある程度わかっている病気です。

また、定期的に健康診断を行うことで、胆嚢粘液嚢腫の早期発見や関連する病気を発見することでこれらの治療を行うことができれば胆嚢粘液嚢腫の予防につながります。

 予防接種などで病院を訪れる際など、年に1-2回は定期的に健康診断を受けるようにしましょう。



bottom of page