胃捻転症候群
症例
消化器科
犬の胃捻転とは、文字通り胃が捻転してしまう病態のことを言います。
何らかの原因によって、胃の内容物が発酵、そしてガスを発生させて胃に充満することで、胃が捻転します。同時に臓器が圧迫されたり、他の臓器や血管などが胃と共に捻転し、血液の循環を妨げてしまいます。早期の手術をしなければ、高確率で命を落としてしまう恐ろしい疾患です。
好発犬種
胸が大きくて深い品種、大型犬で発生しやすいです。特にグレート・デーンは危険性が高い品種です。グレート・デーンやセント・バーナードなどの超大型犬種の場合、生涯のうちに胃拡張・胃捻転を起こす可能性は21~24%という報告もあります。日本で一般的な大型犬では、レトリーバー犬種、ワイマラナー、グレートピレニーズなども起こす可能性があります。
小型犬の場合は上記の品種ほど発生は多くありませんが、ダックス・フンド、パグ、バセット・ハウンドなどでの発症が知られていて、どの犬種でも発生する可能性があります。
発生原因
・胃でガスが発生しやすい、食べ物を摂取する。(盗食)
特に、食後すぐの運動には注意が必要です。胃や腸はがっちりと固定されている臓器ではないため、食後すぐに運動すると、重くなった胃が動き回り捻転する恐れがあります。
対策
まず徹底したいのは、「食後すぐに運動をさせないこと」。
フードを与える時間は、必ず散歩の後や運動の後にしましょう。
1日に1回の食事だと、食事量も必然的に多くなります。そうすると、胃捻転の起こりやすい状況を作ってしまうことになります。胃の中でドッグフードが一気に膨らんでしまいます。
予防
当院では大型犬の避妊・去勢のタイミングで捻転しないように胃固定を勧めることがあります。
様々な予防・対策法がありますが、現実的であり一度の麻酔で処置が可能です。
実際の症例
6ヶ月 ワイマラナー 避妊時
胃の一部を外壁に縫いつける事で、捻転を生涯起こさないようにしています。
通常の避妊時よりも傷口が広くなってしまいますが、有効な手段だと思います。