
緑内障
症例
眼科
緑内障とは?
眼球の中の水(房水)がうまく排出されずに眼球内に溜まってしまい、眼圧が上がってしまう病気です。眼圧が高くなることで痛みを起こし、視神経が圧迫され、最終的に視力を失ってしまいます。
犬猫ともに発症する病気ですが、それぞれ起こる原因が違ってきます。
1.原発性緑内障
犬種によっては犬で最も多い緑内障の原因の一つです。遺伝的素因によって房水の排出路が狭くなったり、詰まってしまうことで眼圧の上昇が起こります。両眼に発症することが多く、片眼が先に発症しても数ヶ月〜数年後にはもう片方の眼でも発症してしまいます。
柴犬、アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズー、バセットハウンド、ビーグル、ボストン・テリアなどが好発犬種とされています。
猫では原発性緑内障の発症率は低くかなり稀です。
2.続発性緑内障
他の眼の病気(ぶどう膜炎、腫瘍、外傷、水晶体脱臼など)が原因となって引き起こされる緑内障です。眼圧を下げる治療を行いますが、何よりも原因疾患の治療が大切になってきます。猫ではぶどう膜炎や腫瘍が原因となって続発性緑内障を引き起こすことが多いです。
症状
見た目の変化として、白目の充血や角膜の濁り、瞳孔の散大が認められます。眼圧の上昇が重度になってくると牛眼と言われる眼球の腫れが目立つようになります。
また強い痛みを伴うので目の充血やしょぼつき、涙の量の増加が認められ、目を気にして掻いてしまうこともあります。
犬に比べて猫は痛みを我慢してしまうことが多く、発見が遅くなることもあります。

診断
眼圧計を用いて、眼圧を測定することによって診断していきます。正常眼圧は犬では10~20mmHg、猫では15〜25mmHgといわれています。
そのほか、眼底検査で網膜や視神経の評価を行ったり眼科超音波検査で眼内構造の評価を行うことで眼球への直接的なダメージを確認していきます。
特殊な機械を必要とすることもあるため、詳細の評価が必要な場合は眼科専門医へ紹介になります。

治療
原発性緑内障、続発性緑内障いずれにおいても眼圧を維持し、視覚の維持や痛みなどの不快感を取り除くことが治療のゴールとなります。
高眼圧状態が24〜72時間持続すると通常視覚が戻らないと言われているため、急激な眼圧の上昇が認められた場合は、速やかに眼圧を下げるために点眼薬による緊急治療が必要になります。
緊急治療により、眼圧を20mmHg以下に下げることができたら、点眼薬による眼圧の維持に切り替えていきます。しかし、眼圧が20mmHg以下に下がらなかったり、その後の眼圧のコントロールが難しい場合は外科的な治療を行う必要があります。
※眼科手術(特に眼内操作を必要とする手術)は特殊な機器や技術を必要とするため、眼科専門医へ紹介させていただきます。
最後に
緑内障は強い痛みを伴う疾患であり、最終的には視覚を奪ってしまいわんちゃんや猫ちゃんの生活の質を著しく低下させてしまいます。わんちゃん猫ちゃんたちの光を守るためにも、眼の充血やしょぼつきなどの痛みのサインを見つけた場合には、早めの受診をお勧めいたします。











