top of page
02-01-group_Mono_edited.png

犬のレプトスピラ症

症例

感染症科

レプトスピラ菌という細菌(スピロヘータ属)によって引き起こされる感染症です。

感染すると急性の腎障害・肝障害・出血傾向などの重い症状を引き起こし、重症例では命に関わる可能性のある病気です。

人獣共通感染症のため、人にも感染の可能性があります。


レプトスピラ菌
レプトスピラ菌


【主な症状】

  • 元気消失

  • 食欲低下

  • 発熱

  • 嘔吐、下痢

  • 腎不全(尿が出なくなる、脱水)

  • 肝不全(黄疸、腹水、意識障害)

  • 出血傾向(血尿、鼻血、紫斑)

※犬種や体力、感染した菌の型によって症状はさまざまです。



【病態(感染のしくみ・経過)】

◆ 感染経路

・主にレプトスピラ菌に汚染された水や土壌(川、池、水たまり、泥など)

・レプトスピラ菌に感染した動物(ネズミや野生動物)の尿→皮膚や粘膜(口、鼻、結膜など)を介して感染

※レプトスピラ菌は湿った土壌や淡水中で数ヶ月間死滅されないとされ、台風や河川の増水によって汚染が広がりやすくなるなるため、秋を中心に発生が多く見られます。




◆ 発症までの流れ

  1. レプトスピラ菌が体内に侵入

  2. 血液中で増殖(菌血症期)

  3. 各臓器(腎臓・肝臓・肺など)に広がる

  4. 臓器障害・出血傾向・黄疸などの症状

感染してから発症までの期間は、数日~20日程度と言われています。


【診断】

・血液検査

・X線検査

・超音波検査

・尿検査

・血液凝固系検査尿検査 ・血清の抗体検査(MAT法など)

・血液や尿の培養検査、PCR検査、ELISA検査



【治療】◆ 急性期の治療

・抗生物質(ペニシリン、ドキシサイクリンなど):早期投与が重要

・点滴治療:脱水・腎機能補助

・対症療法:吐き気止め、胃薬、肝機能保護剤など



◆ 重症例

・集中管理(入院)

・電解質補正、血液透析が必要な場合も【予防】


◆ ワクチン接種

・レプトスピラワクチンが含まれる混合ワクチンに含まれる(7種以上)

レプトスピラには多くの血清型があり、血清型が異なるとワクチンの予防効果はありません。

最も多くの4種の血清型が含まれるワクチンを推奨します。(10種混合ワクチン、レプトスピラ単味4種ワクチン)


ワクチン接種をご検討ください
ワクチン接種をご検討ください


◆ 生活上の注意点

・発生地域に近付かない

・不衛生な水たまり、川、田んぼなどに入らせない

・ネズミや野生動物との接触を避ける

・散歩後の足洗いや体の清潔を保つレプトスピラ症は西日本での発生が多い感染症ですが、最近では神奈川県内でも発生の報告があります。

2025年1月には藤沢市での発生が報告されています。

https://kvma.jp/news/883/


感染症すると重篤な症状を引き起こし、回復後も感染源となる可能性があるため、予防がとても大切な病気です。

bottom of page