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肝臓腫瘍

症例

軟部外科

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれるように、腫瘍が発生しても症状が出にくく、発見時にはかなり大きいサイズになってしまっていることがあります。またその殆どが、高齢で発生する病気ですので、手術をすべきかどうか悩まれる飼い主様も多いのが実情です。肝臓腫瘍の多くは手術により根治が見込めるものですが、動物の年齢や手術のリスクによっては手術をしないという選択肢が適切な場合もあります。



肝臓腫瘍の分類:大きな区分けとして以下の3種類に分類できます。


  • 肝細胞由来

  • 胆管由来

  • 血管由来


特に肝細胞由来(結節性過形成・肝細胞腺腫・肝細胞がん)が最も多く、全体の 8 割以上を占めます。基本的に、これら 3疾患は孤立性の発生であれば、手術による摘出で良好な予後が期待できます(手術の難易度やリスクは部位によります)。

胆管や血管由来の腫瘍である場合、肝内転移や他臓器への転移が起こりやすく予後が悪いとされています。


診断

発見する為の検査としてはエコー検査が有効です。

偶発的にレントゲンで肝臓領域の腫大を確認したり、血液検査にて異常な肝数値の上昇にて気づくこともあります。また外科を選択する場合にはCT検査を行い転移病巣や切除ラインを確認することが必要です。切除した肝葉を病理組織学検査に提出することで確定診断が行えます。



実際の症例

M・シュナウザー14歳齢 健康診断にて偶発的に発見。

CT検査にて外科的な切除可能かを確認し切除に至る。

肝臓の腫瘍は部位によっては手術のリスクや難易度が変わってきます。

今回は左葉系の比較的切除しやすい領域にできた腫瘍でした。



病理組織検査結果は肝細胞癌でした。





術後の合併症として報告されているもの


  • 膵炎

  • 出血

  • 血栓症

  • 一時的な急性腎不全や低血糖



これらに対し術前の段階から予防対策をとっていきます。

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