top of page
02-01-group_Mono_edited.png

肥満細胞腫

症例

腫瘍科

肥満細胞腫とは?

肥満細胞腫(Mast Cell Tumor:MCT)は、肥満細胞という免疫に関わる細胞が腫瘍化した皮膚や皮下にできる腫瘍です。犬では最も一般的な皮膚の悪性腫瘍のひとつであり、猫にも比較的多くみられます。

肥満細胞は本来、アレルギー反応や炎症の調整に関わる重要な細胞ですが、これが腫瘍化することで周囲の組織に悪影響を及ぼすことがあります。


肥満細胞腫
肥満細胞腫



見た目や症状

犬の場合、肥満細胞腫は皮膚のどこにでも発生します。見た目には以下のような特徴が見られる事が多いです:

  • 丸く、毛の生えていない、触ると柔らかいしこり

  • 表面が赤くなったり、潰瘍を起こすことがある

  • 時期によって大きさが変化する(炎症などによって腫れたり引いたり)

  • 皮下にできたものは、触れにくいこともある

  • 1個の場合から多発する場合まである


肥満細胞腫
肥満細胞腫


猫の場合は、皮膚型と内臓型の2つに分けられます。皮膚型は比較的良性のことが多いですが、内臓型(特に脾臓や消化管などにできる場合)は悪性度が高く、注意が必要です。



診断方法

肥満細胞腫の診断には、以下の方法が用いられます:

  • 細胞診(穿刺吸引):しこりに針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で肥満細胞の特徴的な形を確認します。

  • 病理組織検査:腫瘍を切除後、組織を詳しく調べて、悪性度のグレードを評価します。

  • 画像検査(X線、超音波、CTなど):転移の有無や内臓への影響を調べるために行います。



治療法

治療は腫瘍の場所、グレード、進行度によって異なります。


肥満細胞腫の治療法
肥満細胞腫の治療法

主な治療方法:

  • 外科手術:最も基本的かつ効果的な治療法で、可能であれば広い範囲での切除が推奨されます。

  • 化学療法:高グレードや転移がある場合に用いられます。

  • 分子標的薬(トセラニブなど):一部の犬で効果が確認されており、進行例や再発例にも使用されます。

  • 放射線治療:手術が困難な部位や、取り切れなかった腫瘍に対して行われることがあります。




予後とフォローアップ

予後は腫瘍の悪性度や進行の程度によって大きく異なります。

低悪性度であれば、完全切除により再発せず完治することもあります。

高悪性度だったり、転移を伴う場合は、積極的な治療と継続的なモニタリングが必要です。

定期的な触診や画像検査、血液検査を通じて、再発や転移の早期発見を目指します。



飼い主さまへ

肥満細胞腫は、早期に発見して適切な治療を行うことで、良好な経過をたどることも少なくありません。

皮膚にしこりや変化が見られた場合には、すぐに動物病院を受診してください。

当院では、細胞診から手術、術後のフォローアップまで、総合的な対応が可能です。大切なご家族の健康を守るために、ぜひお気軽にご相談ください。

bottom of page