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動脈管開存症

症例

循環器科

動脈管開存症とは?

動脈管開存症とは先天性心疾患の一つです。

まず動脈管とは、大動脈と肺動脈をつなぐ短絡路のことを言います。この短絡路は胎仔の時期にのみ存在しており、肺の代わりに全身へ酸素を循環させる働きを持っています。


出生すると、肺での呼吸に切り替わるため動脈管は役目を終え、まもなく閉じていきます。


動脈管開存症とは、動脈管が閉鎖せず残存してしまう先天性心疾患のことを言います。


犬の先天性心疾患の中ではおよそ2割程度を占めていて、先天性心疾患の中では2番目に多いという報告があります。


無治療で過ごした場合、1年後の死亡率はおよそ6割を超えてくる疾患です。



見つかりやすい動物は?

犬で比較的多く、中でも小型犬の方が多いとされています。

また、先天性の疾患であるため若い年齢での発見が多いとされています。



症状は?

症状は心臓の状況により様々です。

軽度であれば無症状のまま過ごしていることも少なくありません。


  • 発育不良

  • 触ってわかるレベルの心雑音

  • 疲れやすい

  • 後ろ足のみ血行が悪い(分離性チアノーゼ)

  • 失神

などがあります。



診断は?


診断には超音波検査が最も重要であり、胸部のレントゲンや、血液検査なども重要となっています。

超音波検査では、血行動態の評価や肺高血圧症の有無が可能であり動脈管開存症の治療方針の決定にとても重要です。



治療は?


❶外科療法

根本的治療となる治療法です。

外科療法の中でも下記のような選択肢があります。


①直接法

胸を開いて直接動脈管を縛り(結紮し)閉鎖させます。

直接法の中でもクリップを用いて閉鎖する方法や、糸で直接縛る方法があります。


メリット

・特別な設備が不要であるため比較的実施できる施設はあること

・体格の制限がないため、身体が小さくても実施できること


デメリット

・胸を開く手術となるため、侵襲度が高いこと



②カテーテル法


メリット

・手術の侵襲度が直接法と比べて少なく、負担が少ないこと


デメリット

・実施できる施設が限られていること

・手術の体格制限があり、身体が小さすぎる場合にはカテーテル法が適応にならないこと


また外科治療が第一選択となっていますが、心臓の状況によっては外科治療が禁忌となる場合もあります。


❷内科療法

心臓の血行動態に応じ、利尿剤や血管拡張薬などを用いて対応します。

根本的治療にはならないので、外科治療までの繋ぎや、外科治療が禁忌となった重度の心不全の場合に検討します。

また、多血症も生じていることも少なくないため瀉血という血を薄くする処置を実施する場合もあります。



まとめ

動脈管開存症は無治療であると、1年後の死亡率はおよそ6割を超えてくる先天性心疾患です。画像検査での心臓の状況を把握し外科療法のタイミングの見極めはとても重要であり、早期発見・早期治療がとても重要となっています。


当院では画像診断での心臓の評価や一部の外科治療にも対応しており、必要に応じ2次病院への紹介も対応可能です。お気軽にご相談ください。

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