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肛門周囲腺腫
症例
腫瘍科
肛門周囲腺腫は、肛門周囲に存在する肛門周囲腺(皮脂腺の一種)から発生する良性腫瘍です。
特に未去勢の中高齢の雄犬に多く発生します。

【病態】
・性ホルモン(テストステロン)依存性の腫瘍
・ごく稀に雌での発生も認められる
・肛門の周囲や会陰部、尾の下などにできやすい
・1〜複数個発生し、徐々に増大する
・腫瘍の表面が潰瘍化することもある
【診断】
◆視診・触診
・肛門周囲に結節状のしこりが見られる
・皮膚表面が潰瘍化し、ただれることもある
◆細胞診
・腫瘍部に針を刺して細胞を採取し、腫瘍の性質を推定
◆病理組織検査
・外科的に摘出した腫瘍の一部を検査して、確定診断を行う
◆血液検査
・その他の疾患の除外
◆画像検査(レントゲン・エコーなど)
・転移や他の腫瘍、疾患の有無を評価。
【治療】
◆外科的切除
・腫瘍が大きく、症状がある場合に切除を行います。
・切除した腫瘤の病理組織検査が確定診断となります。
・完全切除によって良好な予後も期待できます。

◆去勢手術
・性ホルモン依存性であるため、去勢手術が有効です。
・腫瘍の縮小や再発防止につながります。
◆ホルモン療法(抗アンドロゲン剤)
・去勢できない場合や再発リスクが高い場合に使用します。
・ただし、副作用のリスクがあります
【まとめ】
肛門周囲腺腫は、去勢手術と腫瘤の切除が診断・治療として有効です。
去勢手術を行わない場合は再発率が高いとの報告があります。
また、発生を予防する目的で去勢手術を行うことも推奨されます。

