top of page
02-01-group_Mono_edited.png

門脈体循環シャント

症例

消化器科

門脈体循環シャントとは?

門脈体循環シャント(portosystemic shunt, PSS)とは、肝臓に血液を供給するための門脈(もんみゃく)と、全身に血液を送り出す体循環の血管との間に異常な血管ができ、正常な血流が妨げられる病気です。この病気は、一部の血液が肝臓を通過せず、肝臓での解毒や栄養素の処理が正常に行われなくなるため、肝機能障害を引き起こす可能性があります。



原因

門脈体循環シャントは、先天性(生まれつき)のものと後天性(疾患や障害が原因)のものがあります。

ほとんどの場合、先天性が多く、特に犬では特定の犬種に発症リスクが高いことが知られています。

代表的な犬種としては、肝外PSSでは小型犬(ヨークシャーテリア、チワワ、ダックスフンドなど)が多く、逆に肝内PSSは大型犬(ラブラドールなど)に多いとされている。


犬猫の門脈体循環シャント
犬猫の門脈体循環シャント



主な症状

門脈体循環シャントの症状は、以下のようなものがあります:

  • 食欲不振、体重減少

  • 嘔吐や下痢

  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)

  • 神経症状(運動失調、けいれんなど)

  • 多飲多尿

  • 急激な元気消失や虚弱

これらの症状は、肝臓が正常に機能しないために発生し、特に神経症状(痙攣やふらつき)が見られることがあります。



診断方法

門脈体循環シャントの診断は、獣医師による詳細な診察と、画像診断や血液検査を通じて行います。

血液検査では、肝機能が低下していることが確認できます。

腹部超音波検査やCTスキャン、MRIによって、シャント血管の存在を確認します。

コントラストCTや静脈造影による詳細な血管の評価も行われることがあります。



治療方法

治療は主に、外科手術によるシャント血管の閉塞を目指す方法が選ばれます。手術によって、異常な血流を正常なルートに戻し、肝臓が正常に働けるようにします。

手術が成功すれば、多くのケースで症状が改善し、生活の質が大きく向上します。

また、手術ができない場合や手術後のフォローアップとして、薬物療法(例えば、肝臓をサポートする薬や、神経症状を抑える薬)が使われることもあります。



予後と生活

門脈体循環シャントの予後は、早期に発見し適切な治療を行った場合、比較的良好です。手術後は、肝臓の回復をサポートするために、適切な食事管理や定期的な診察が重要です。また、後遺症が残ることもありますが、多くの犬や猫は元気に回復し、通常の生活を送ることができます。



飼い主様へのアドバイス

もし愛犬や愛猫が上記の症状を示した場合は、早期に獣医師に相談することが大切です。

門脈体循環シャントは、早期発見・早期治療によって予後が大きく改善することが多いため、少しでも気になる症状があれば、専門的な診察を受けることをおすすめします。

bottom of page