
橈尺骨成長不一致
症例
整形外科
「橈骨成長板不一致」ってどんな病気?
元気いっぱいの子犬が、ふと見ると「片足だけ前足が曲がっている」「足をかばって歩いている」…そんな異変に気づいたことはありませんか?
今回は、子犬の前足に関わる病気「橈骨成長板不一致(とうこつせいちょうばんふいっち)」について、飼い主さん向けに分かりやすく解説します。どんな病気?
犬の前足には、「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」という2本の骨があります。これらは一緒に成長してまっすぐな足を作りますが、何らかの理由でどちらかの骨の成長が止まってしまうと、もう一方とのバ ランスが崩れて、足が曲がってしまうことがあります。

これが「橈骨成長板不一致」です。
どんな犬に多いの?
大型犬や中型犬の子犬
成長期(生後4~12ヶ月頃)
特にボーダーコリー、ゴールデンレトリーバー、ビーグル、バセットハウンドなどが要注意とされています。
どうして起きるの?
主な原因は以下の通りです:
骨折などによる成長板の損傷
遺伝的な要因
過度な運動や栄養バランスの乱れも関与する可能性があります
尺骨の成長が早く止まることで、橈骨が引っ張られて曲がることが多いです。
どんな症状が出るの?
前足が「くの字」に曲がる
片足をかばって歩く(跛行(はこう))
前足の手首部分が外側にねじれる
活発さが減る、ジャンプを嫌がる
症状は徐々に進行することが多く、早期発見が大切です。

診断方法は?
動物病院では:
レントゲン検査
必要に応じてCT検査や角度の測定
により骨のゆがみや成長具合を詳しく評価します。

治療法はあるの?
軽度の場合:
経過観察
成長終了後に自然と落ち着くこともあります
中等度〜重度の場合:
外科手術が推奨されます。主な方法は:
尺骨骨切り術(しゃっこつこつせつじゅつ):バランスを整えるため尺骨を一部切除
矯正骨切り術:曲がった橈骨を整える
いずれも専門的な整形外科手術が必要になります。


予後とその後のケア
手術後の予後は良好なケースが多く、早期に治療すれば正常な歩行に戻ることができます。
ただし、再発や関節への負担を防ぐために:
定期的な検診
無理のない運動管理
体重管理
がとても大切です。
さいごに
子犬の成長期は、体が大きく変化する大切な時期です。前足の「曲がり」や「歩き方のおかしさ」に気づいたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。橈骨成長板不一致は早期発見・治療で大きく改善できる病気です。

