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臍ヘルニア
症例
小児科
臍ヘルニアとは
腹部の臍部に、腹壁のすき間から、脂肪組織や腸などが飛び出してしまう状態のことです。
胎仔期において臍帯は母体から胎児へ栄養を供給する重要な構造であり、出生後には自然閉鎖するのが一般的です。しかし、この閉鎖が不完全な場合、臍ヘルニアが形成されることがあります。そのため、子犬・子猫に見られることが多いです。
症状
よく見られる見た目の特徴
おへそのあたりにふくらみがある
やわらかく、触ると押し戻せる(=還納性があり)
触っても痛がらない・気にしないことが多い
要注意の症状(緊急性あり)
急にふくらみが大きくなった
触っても押し戻せない
ふくらみが硬くなっている・赤みがある・熱をもっている
触ると痛がる、嫌がる
元気がない・嘔吐する・食欲不振を伴う

経過観察で様子を見るケースと、手術が必要になるケースの違いは
臍ヘルニアは、すべてがすぐに治療を必要とするわけではありません。
以下のような場合には、経過観察となることがあります
ヘルニアの大きさが小さい
内容物が脂肪組織のみで、腸などが入り込んでいない
触ると押し戻せる(還納性がある)
本人が痛がったり不快がったりしていない
成長期(生後6か月頃まで)で、自然に閉じる可能性がある
一方で、次のような場合には、手術を推奨します。
ヘルニアが徐々に大きくなっている
内容物が腸などで、押しても戻らない
腫れが硬い・赤い・熱をもっている
本人が痛がる/元気がない/吐いている
成長しても自然に閉じる様子がない
特に腸などが入り込んで締めつけられる「嵌頓(かんとん)」を起こすと、命にかかわることもあるため、注意が必要です。
検査法
触診にて、戻るかどうか確認します。
レントゲンや超音波検査において、ヘルニア内容物が脂肪組織か臓器か判断することができます。
治療法
外科手術でヘルニア孔(穴)を閉じる
避妊・去勢手術と同時に行うことも可能です(麻酔の負担が一度で済むため)

