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改正動物愛護法〜何が変わるの?〜 

私達の大切な家族にも深く関わってくる動物の愛護及び管理に関する法律(通称:動愛法)が2019年に6年ぶりの改正がされ、2022年までに「段階的に」施行されていくことになっています。


昨今大変な注目を集めた動物愛護法の改正。

今回はその改正の注目ポイントをわかりやすくまとめました。




動物愛護法とは?

動物愛護法は動物の虐待などの防止について定められた法律で、1973年に制定されました。

人間と動物が豊かに共生できる社会を実現するために作られた法律で、その後、飼い主やペット事業者の責任や義務が強化される条項が盛り込まれ、これまでに4度改正されています。

最も新しい法改正は2019年6月19日に公布されました。



改正のポイント

 今回の改正の大きなポイントは以下3つです。


  • 数値規制(飼養管理基準の厳格化)

  • 虐待の罰則強化

  • 幼齢犬猫の販売制限(8週齢規制)


今回の法改正では動物愛護と虐待防止の強い観点から、上記のポイントが大きく改正されることになりました。

その内容を1つずつ見ていきましょう。


数値規制(飼養管理基準の厳格化)

数値規制【 第21条 】は、犬猫の繁殖業者などに対して、飼養または管理に関する基準を具体的に定めたものです。

この規制は2021年6月から運用開始される予定です。

数値規制の目的は、悪質なブリーダーやペットショップの抑制です。

繁殖業者やペットショップなど、動物のプロである第1種動物取扱業者に対して、犬猫の飼養施設の構造、規模、従業員数、環境管理の状況や繁殖の回数などについて、飼育環境について数値を定めるように法改正がされました。



犬猫を家族のように愛情を持って育てている優良ブリーダーさんがいる一方で、残念ながら劣悪な環境で犬猫を育てている一部の劣悪なブリーダーやペットショップが存在するのも事実です。

そんな動物たちを救いたいという多くの声が後押しとなり、具体的な数値を定め、規制を強化することになりました。



飼養管理基準の具体例


寝床や休息場所となるケージの大きさ

タテ体長の2倍×ヨコ体長の1.5倍×高さ体高の2倍とする


運動スペースの確保と運動時間

ケージサイズの床面積の6倍×高さ体高の2倍の運動スペースを確保し、1日3時間以上は運動スペースに出し、運動させることを義務付ける


1人につき繁殖犬15頭、販売犬20頭まで飼育可能

従業員1人あたりにつき、繁殖犬は15頭まで、販売犬は20頭まで飼育可能とする(親と同居している子犬は頭数に含めない)


生涯出産回数は6回まで、メスの交配は6歳まで(満7歳未満)

ただし、満7歳時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、交配は7歳までとする。

また、7歳未満であろうとなかろうと、年齢や出産回数にかかわらず、繁殖に適さない個体は交配を認めない。


詳細や、他の事項についてご興味のある方は「適正な飼養管理の基準の具体化について」をご覧ください。



虐待の罰則強化

従来の法律よりも虐待に関する罰則を厳格化

動物殺傷罪等の厳罰化【 第44条 】は2020年6月から施行されています。

動物をみだりに殺したり傷つけたりする行為には、従来は2年以下の懲役または200万円以下の罰金とされていました。

これが改正され、現在は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に厳罰化されています。

また動物の虐待や遺棄に関しては、100万円以下の罰金とされていたものが、現在は1年以下の懲役または100万円以下の罰金とこちらも同じく罰則が強化されました。

もっと強化してもいいのではと個人的には思うところですが、数値を伴った明確な罰則強化になったことで、動物への虐待行為に対する抑止効果は上がったと言えるでしょう。



幼齢犬猫の販売制限(8週齢規制)

8週齢規制とは

生後56日(8週)に満たない犬猫の販売を禁止する規定です。

従来までは生後49日(7週)とされていたものから1週間延長されました。

この規制は2021年6月から運用開始される予定です。



8週齢規制については、幼齢のかわいいうちに高値で売りたいペット関連業界と、幼齢の生体販売に反対する動物愛護団体とでこれまで30年近く激しく議論されてきた問題でした。

今回は、海外で得られた幼齢犬猫のエビデンスに基づき、8週齢まで母犬及び兄弟犬と共に生活させることで、成長後の問題行動の予防(社会性の習得)、母犬からの免疫力を高め流通過程での感染症を減少させることが認められ、ペット先進国のドイツやアメリカと同じ基準にまで引き上げられました。


ただし、日本犬6犬種(柴犬、秋田犬、北海道犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬)については「天然記念物の保存」を理由に、ブリーダーからの販売に限り8週齢規制の適用対象外とすることが、動物愛護法の付則に盛り込まれました。

そのため、この6犬種は従来通り生後49日を超えれば販売可能となっています。


上述の理由からすると、なんだか本末転倒な理由のような気もしますが、将来的には日本犬6犬種についても含めた法改正がなされることに期待します。

いかがでしたか?

その他にもマイクロチップの装着義務化、獣医師による通報の義務化、犬猫の繁殖制限を義務化など、様々な改正が盛り込まれています。

2020年からほとんどの改正内容が運用されていますが、皆様の関心が高い『8週齢規制』『数値規制』は2021年6月からいよいよ運用開始されることになります。

今回の改正では、動物虐待を阻止する目的としては大きな進歩であるという評価がある一方で、ペット先進国にはまだまだ及ばず実行力にも疑問が残るといった意見も多く挙がっています。


皆様はどのように感じられたでしょうか?


ペットの家族化が進んでいく中で、動物を飼う私たち一人ひとりが、責任ある終生飼育と、ペット(家族)に対する愛情をしっかりと持ち続けていくことが何より大切です。

改正動物愛護法が、動物虐待をしっかりと抑制し、動物たちがより安心・安全に暮らせる世の中になっていくことを切に望みます。


アリアスペットクリニック

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