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犬の拡張型心筋症

症例

循環器科

⚪︎拡張型心筋症とは?

拡張型心筋症とは、心筋の収縮機能が低下し心室が拡大していく疾患です。

収縮機能が低下することで、効率よく血液を循環させることができなくなり心不全になっていき、場合によっては不整脈や肺水腫などの疾患につながっていきます。

犬に多い疾患となっており、特に大型犬の特定の犬種に多いとされています。



⚪︎なりやすい犬種は?

大型犬の中でも特にドーベルマンやボクサー、グレートデーン、ゴールデンレトリバーなどでの発症が多いです。


⚪︎原因は?

犬の拡張型心筋症の多くは遺伝による影響(特発性)が一般的です。

そのほかの要因としては、

・タウリンやL-カルニチンというアミノ酸の欠乏に関連したもの(栄養性)

・感染や中毒などに続いて発症したもの(二次性)

があります。



⚪︎症状は?

発症初期には無兆候のことが多く、進行してから発見されることも少なくありません。

見られる症状として、

  • 疲れやすくなる

  • 呼吸が早い

  • 腹部の膨満感

  • 失神

などがあります。



⚪︎診断は?

診断にはレントゲン検査、超音波検査、心電図検査などの検査で心臓の形態の確認や、肺の様子、不整脈の有無などを診断します。

血液検査での心筋に関連したバイオマーカーでの検出も診断の補助となる場合があります。

また、聴診での不整脈や心雑音の有無の確認も診断するにあたり大変重要です。


⚪︎治療は?

①内科療法

強心剤や利尿剤を中心とした心不全に対する治療です。

状況に応じて抗不整脈薬によって不整脈の治療が必要になる場合もあります。


②食事療法

現在でも因果関係が証明しきれていませんが、グレインフリー(穀物不使用)のフードが関連している可能性があるという報告や、豆類に成分が心筋症の進行と関連がある可能性があるとの報告があるのでそのような食事は避ける必要があります。

また、サプリメントにてタウリンやL-カルニチンなどのアミノ酸の補充を併用することで心筋の運動が改善したという報告もあります。



⚪︎予後は?


平均的には1−2年程度とされていますが、それよりもドーベルマンでの拡張型心筋症の予後はあまりよくないとされています。

しかし、犬種や疾患の重症度、治療への反応により様々であり中には突然死するリスクがあります。



⚪︎まとめ

拡張型心筋症は犬における心筋症では1番発症しやすい疾患です。

初期は無兆候でいることもしばしばありますので、健康なタイミングで定期的な健康診断を実施し疾患の早期発見に努めていきましょう。

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