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フィラリア症

症例

循環器科

フィラリア症とは

フィラリア症とは、蚊によって媒介される犬糸状虫が感染することにより発症する疾患です。主に、犬に感染する恐れのある疾患ですがごく稀に猫や人にも感染する可能性のある疾患となっています。

犬糸状虫は心臓や肺動脈に寄生することで、様々な症状を起こす疾患です。




感染経路は?

犬へのフィラリアの感染には蚊が大きく関与しています。


①感染した犬の血液を蚊が吸血する

②蚊の体内においてフィラリアの幼虫(=ミクロフィラリア)が成長する。

②フィラリアの幼虫を保有した蚊が他の犬に吸血し、傷口から犬の体内にミクロフィラリアが侵入し感染を起こす。

③フィラリアの幼虫が犬の体内で成長しフィラリアへ

④心臓や肺動脈に寄生し、フィラリアの幼虫を産み犬の体内で増えていく

→①へ戻り繰り返す


というサイクルを繰り返していきます。




症状は?


フィラリアは心臓や血管に寄生するため、心臓に関連した症状が出ることが多いです。


  • 腹水

  • 運動不耐性

  • 発咳

  • 失神


などの症状が見られる可能性があります。

進行してくると肺高血圧症といった、心臓病へと進行するリスクがあります。



診断

①抗原検査


成虫のフィラリアがいる場合に血液を用いて検出することのできる検査です。

感染した直後であると、幼虫から成虫になるまでに6ヶ月程度期間があるので抗原検査で陽性反応が出ない場合があります。


②ミクロフィラリア検査

採血を実施し、末梢血中のフィラリアの幼虫を顕微鏡で観察します。


③画像診断

フィラリアに感染している場合、超音波検査でフィラリアの虫体が心臓の中に確認できる場合があります。また、それに関連して腹水や右心不全の所見がレントゲン検査などでも認められる場合があります。


④血液検査

貧血や好酸球の上昇、低アルブミン血症などの症状が認められる場合があります。などが、診断のための検査として用いられます。



治療

フィラリア症の治療には様々ありますが、多くは根治が難しいものとなっています。


①成虫の駆除

成虫の駆除には昔は外科的な手技として、麻酔下で鉗子を用いた除去が実施されていましたが現在は主流ではありません。現在では海外薬を複数回投与することによって駆虫をする方法があります。


②ミクロフィラリアの駆除

フィラリアの成虫を駆除後に予防薬を用いてミクロフィラリアの駆虫を実施します。


③対症療法

心不全の程度に応じて強心剤や利尿剤、肺血管拡張剤などでの治療を実施します。


予防


フィラリア症になることを避けるためにも、適切な予防薬の投与が必須となっています。フィラリアの予防の時期として、蚊の活動する季節から予防薬を投与しはじめ、蚊の活動が終わってからプラス1ヶ月後までの期間投与することを推奨しています。


また、当院では温暖化の影響もあり通年でのフィラリアの予防を推奨しております。



まとめ

フィラリア症は一度発症すると完治が難しい疾患です。たとえ、フィラリア自体を身体から駆虫できても、心不全の治療で生涯治療が必要になる可能性があります。


しかし、たった月に一度の予防を継続して行うだけでフィラリアの感染リスクを大きく減らしこのような病気になる可能性を大きく減らすことができます。このような状況にならないためにもしっかりと予防を実施していきましょう。

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