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肝葉切除

症例

軟部外科

肝葉切除とは?

「肝葉切除(かんようせつじょ)」とは、病気がある肝臓のブロックを根元からきれいに切り取る手術です。

実は、犬や猫の肝臓は一つの大きな塊ではありません。「葉(よう)」と呼ばれる6つの塊に分かれています。病変がある塊だけをピンポイントで取り除くため、他の正常な肝臓へのダメージを最小限に抑えることができます。

ただし、どこの場所にあるかによって手術の難易度が変わってしまう為、手術前の評価が重要な手術となっています。理想的には術前のCT検査で全体像を把握することが、計画において大切な要素です。



手術の適応:どんなときに必要なの?

主に以下のような病気や状態のときに、肝葉切除が選択されます。


肝臓の腫瘍(肝細胞がん、血管肉腫、良性結節など):最も多い適応です。特に「肝細胞がん」のような悪性腫瘍であっても、早期にこの手術で完全に取り切ることができれば、その後も長く元気に生きられるケースが多々あります。


肝葉捻転(かんようねんてん):何らかの拍子に、肝臓の塊の一つがぐるりとねじれてしまい、血流が途絶えてしまう緊急事態です。命に関わるため、迅速な緊急手術が必要になります。


重度の感染症(肝膿瘍など):お薬では治らない大きな膿(うみ)の溜まりが肝臓にできてしまった場合、その塊ごと切除して治療します。


切除した病変部位
切除した病変部位

合併症:どのようなリスクがあるの?


1. 術中・術後の出血

肝臓は「血の塊」と言われるほど血管が豊富に通っている臓器です。そのため、手術中や手術直後の出血が最大の注意ポイントになります。

当院の対策:出血を最小限に抑えるため、血管を瞬時に閉塞・凝固して切断できる「シーリングシステム」などの特殊な手術器具を使用し、安全かつ迅速に手術を行います。


2. 一過性の肝機能低下

一時的に残った肝臓の働きが追いつかなくなることがあります。

当院の対策:術前・術後の徹底した点滴治療や血液検査によるモニタリングを行い、肝臓の回復をサポートします。


3. 麻酔のリスク

肝臓の機能が落ちている状態での全身麻酔には慎重を期す必要があります。

当院の対策:手術前に十分な検査を行い、その子に合わせた最適な麻酔薬の選択と、術中の徹底した生体モニター管理を行います。麻酔リスクの高い症例によっては麻酔専門医との連携を行います。



一歩を踏み出す飼い主様へ

「肝臓を切り取る」と聞くと、とても恐ろしい大手術のように感じられますが、獣医医療や麻酔技術、そして手術器具の進歩により、以前に比べて格段に安全に、そしてワンちゃん・ネコちゃんに負担の少ない形で実施できるようになっています。

なにより、この手術は「肝臓腫瘍の根治を目指すことができる唯一の治療手段」です。

「本当に手術をすべきか迷っている」という段階でも構いません。どんな小さな不安でも、まずは一度私たちにご相談ください。


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