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犬猫の血液型のおはなし

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こんにちは、アリアスペットクリニック獣医師の大塚です。




突然ですが、皆さんはご自分の血液型はご存知ですか?

ほとんどの方が自分の血液型を把握しているのではないでしょうか🙂‍↕️



では、ご自宅のわんちゃんや猫ちゃんの血液型をご存じの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。



ちなみに私の家にはぎずもくんとぽんきちくんという2匹の猫がいるのですが、

2匹とも以前輸血ドナーとして協力してもらったことがあり、

その際に血液型を調べているので我が家の猫たちは血液型がわかっています。

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ぎずも&ぽんきち





実際、血液型の検査というのは日々の診察の中でルーチンで行う検査ではありません。


ですから、ご自宅のわんちゃん猫ちゃんの血液型を把握していない方がほとんどだと思います。


今回は、そんな犬や猫の血液型について2回にわたってお話しようと思います。




…そもそも血液型とはなんなのでしょうか。


1900年にオーストリアの化学者、カート・ライトシュタイナーによって血液型が発見されました。



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カート・ライトシュタイナー



彼は他人同士の血液を混ぜると血液が凝集する(固まる)ことに気づきました。


血液を赤血球と血漿(血液を遠心分した際にできる上澄み液)に分けて混合することで規則性を見出し、血液をグループ分けしました。


それが今日のABO式の血液型です。


ライトシュタイナーのこの発見は「輸血革命」とも言われ、この発見以降、不適合輸血による死亡事故が劇的に減少しました。



少し詳しく説明すると・・・


A型:赤血球にA抗原を持ち、血清中に抗B抗体を持つ。

B型:赤血球にB抗原を持ち、血清中に抗A抗体を持つ。

O型:赤血球にA抗原もB抗原も持たず、血清中に抗A抗体と抗B抗体を持つ。

AB型:赤血球にA抗原とB抗原の両方を持つが、血清中には抗体を持たない。



このようにヒトの血液型がA型、B型、O型、AB型とあるように犬や猫でもいくつかの血液型があるのでしょうか・・?


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まずは犬の血液型のお話をしていきましょう。


犬の血液型はDEA(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)方式で分類され、

DEA1.1、DEA1.2、DEA3、DEA4、DEA5、DEA6、DEA 7、など13種類以上あると言われています。


それぞれその抗原を持っているのか(陽性:+)、持っていないのか(陰性:-)で血液型が決まります。


つまり、人で言う「あなたはA型です。」は

「アリーちゃんの血液型はDEA1.1(+)とDEA1.2(-)とDEA4(-)だね。」と言うように表現します。



人と比べるとかなり複雑な血液型表現ですね。


では、犬の血液型を調べる時にはそのすべての抗原の有無を調べるのでしょうか。



実際には、輸血を行うときに重要になってくるのはこれらの赤血球抗原のうち

DEA1.1を持っているかどうかになってきます。


これはDEA1.1の抗原性が強く、輸血時の副反応の発生に大きく関わってくるためです。



ですので、犬の血液型検査はDEA1.1の有無のみを調べます。


血液型を表現する際は、DEA1.1陽性(+)またはDEA1.1陰性(-)と表現します。



それでは、DEA1.1(+)とDEA1.1(-)のバランスはどうでしょう。


日本人の場合、A型が約40%を占めると言われています。

ついでO型が約30%、B型が約20%、AB型が10%を占めるそうです。


日本にいる犬種ではDEA1.1(+)のわんちゃんが70−80%、

DEA1.1(-)のわんちゃんが20−30%と言われています。


また、犬種によってDEA1.1抗原の保有率が変わってきます。


アメリカで調査された研究では、DEA1.1陽性率が約90%以上と高かったものは


バセット・ハウンド

バーニーズ・マウンテン・ドッグ

ミニチュア・ピンシャー、ミニチュア・シュナウザー

ダックスフンド

パグ

ブリタニー

ロットワイラー

の8種でした。



一方、DEA1.1陰性率が90%以上と高かったのは


ボクサー

イングリッシュ・ブルドッグ

フラットコーテッド・レトリーバー

フレンチ・ブルドッグ

の4種でした。


このように犬にも人と同じようにそれぞれ血液型があり、適合する血液型同士で輸血をする必要があります。


この後のブログでもお話する予定ですが、獣医療においてヒトのような献血システムは確立されていないことが現実です。


基本的には病院ごとで血液の確保を行うのですが、決して容易ではありません。


血液型の検査は日常的に行う検査ではありませんが、わんちゃんの血液型を知っていることがいつかその子を、または輸血を必要としている他のわんちゃんの命を救うことにつながるかもしれません。



ここまでは犬の血液型について少し詳しくお話をしてきました。

次回は猫の血液型についてお話できればと思います。




今回もお付き合いいただきありがとうございました。



アリアスペットクリニック

獣医師 大塚

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