【その症状、実は痒みかも】
- アリアスペットクリニック

- 11月14日
- 読了時間: 3分

犬や猫が体をしきりに舐めたり、掻いたりする様子を見たことはありませんか?
一見すると「クセ」や「暇つぶし」のように見える行動も、実は医学的に“痒み”と呼ばれる症状の可能性があります。痒みは皮膚疾患において最も頻繁に認められる臨床症状の一つで、放置し慢性化すると動物の健康や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。
・痒みとは?
痒みは、掻く・舐める・噛む・こすりつけるといった行動を引き起こす不快な感覚です。人間なら「かゆい」と口にできますが、犬や猫は言葉で伝えられません。したがって、行動の変化が唯一の手がかりとなります。
・痒みを引き起こす主な原因とは?
痒みの背景には、さまざまな病気が隠れていることがあります。
1)外部寄生虫
ノミやダニは強い痒みの代表的な原因です。特に「ノミアレルギー性皮膚炎」では、少数のノミ寄生でも激しい痒みが出ます。
それ以外には疥癬やニキビダニといった寄生虫によっても激しい痒みを引き起こすことがあります
人獣共通感染症の一種で適切に対応しないと飼い主さんにも感染してしまうことがあります
2)アレルギー性皮膚炎
犬のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーは、慢性的で再発しやすい痒みを引き起こします。両者は見た目の症状だけで区別するのは難しいため、丁寧な診断が必要です。

3)感染症
細菌やマラセチア(酵母菌)による皮膚炎は、痒みを悪化させる要因になります。
4)内科的な病気
ホルモンの異常(甲状腺や副腎の病気など)では、直接の痒みは少ないものの、皮膚のバリアが脆弱になり二次的に痒みを伴うことがあります。・評価方法は?獣医臨床において痒みは客観的に測定できるものではありません。
飼い主さんからの詳細な問診と観察がとても大切です。
1)どの部位をよく舐めたり掻いたりしているか
2)いつから症状が出ているか
3)季節や環境との関係はあるか
4)PVASという痒みの主観的な評価により痒みが日常生活にどの程度影響しているかこうした情報とあわせて、皮膚検査(皮膚掻爬検査、細菌・真菌検査など)や除去食試験などを行うことで、原因を特定していきます。・放置するとどうなる?痒みを放っておくと、皮膚のバリアが壊れ、細菌や真菌による二次感染が起こりやすくなります。さらに、慢性的な痒みは動物に大きなストレスを与え、睡眠不足や落ち着きのなさにつながり、QOLを著しく下げてしまいます。
まとめ
舐める行動は「ただのクセ」ではなく、病気のサインであることがあります。
皮膚を舐めたり掻いたりする仕草を見たときは、早めに動物病院で相談することが大切です。痒みの原因を特定し、適切に治療してあげることで、愛犬・愛猫の快適な生活を守ることができます。
獣医師
酒井




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