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新型コロナウィルス 獣医療分野における公式見解まとめ(4/11更新)



「ペットにもうつるの? ペットからうつされるの? 」といった質問をされることも多く、獣医療に従事する私達にとっても、日々刻々と変わる状況や情報に適切に対応していく必要があると考えています。


中国では動物が感染を広げるという噂が出回り、大切な家族であるはずの犬や猫が処分されるというショッキングな情報も入ってきています。


このような世界情勢の中、AVMA(アメリカ獣医師会)WSAVA(世界小動物獣医学会)、そして東京都獣医師会が、それぞれ、現時点における正式な見解を発表しています。






誤解や誤情報が流れる中で、非常に信頼のおけるソースなので、ぜひここで紹介したいと思います。



わんちゃん️猫ちゃんにおける新型コロナウイルスについて、正しく理解し、正しく対策をしましょう。





【新型コロナウイルスに関する獣医療分野の公式見解まとめ】

※2020年4月11日時点


  • 新型コロナウイルス感染症はこれまで犬2例(香港)と猫2例(ベルギー、香港)で感染が報告されています


  • そのうちベルギーの猫は一時的に症状(呼吸器、消化器)を示したと言われています


  • 現時点では、世界中の専門家は新型コロナウイルス感染症が犬猫を含む動物から人に移るとは考えていません


  • 新型コロナウイルス感染症にかかっている人はペットの世話を家族に依頼するなどペットとの接触を避けるべきです。しかし、他に依頼することができない場合には、マスクやグローブを装着して世話をして下さい


  • 普段から動物と接する際に良い衛生を保つことは新型コロナウイル ス感染症に限らず、他の人と動物の共通感染症から自身の身を守るのにとても良いことです



ペットは、衛生的な環境と良い栄養状態を保ち、極力室内で飼い、動物を触った後は手を洗うという衛生管理は、何も今に始まった訳ではなく、普段から奨励されていることです。ペットが病気を媒介するとか、コロナの入った混合ワクチンを念のため接種するという非科学的想像理論にはどうか惑わされませんように。



【参考】




ここからは、病院で受けることが増えた質問を中心に解説していきます。



【新型コロナウイルスに関するQ&A】


Q.1新型コロナウイルスは、犬や猫に感染しますか?

ペットへの感染に関する報道が続き、ペットオーナーのみなさまにとってはご心配な毎日だと思います。


OIE(国際獣疫事務局)によると、香港当局は新型コロナウイルスに感染した方が飼育している犬から、このウイルスの弱い陽性反応が見られたと報告しました。この犬の弱陽性反応は、その後、陰性となったようです。この犬はその間、何も症状を出していませんでした。 最初の血液検査では、感染を示すコロナウイルスに対する抗体価の上昇は認められませんでしたが、 その後陽性が確認されましたので、その犬への感染は実際に起きたようです。


猫では、3 月 27 日にベルギーで感染が確認されたと、ベルギー当局が発表しています。 報道によると、この猫は下痢、嘔吐、呼吸困難などの症状を示した後、回復したとされています。 その後、3 月 31 日には、香港当局が猫への感染を報告しています。この猫は症状を示していないとされています。


いずれの報告も、新型コロナウイルスが犬および猫に感染する可能性を示しています。 香港当局およびベルギー当局は、新型コロナウイルス感染症は、ヒトからヒトにうつる病気であり、 ヒトから犬および猫への感染は一般的ではないことを強調しています。



4 月 5 日には、ニューヨークのブロンクス動物園でトラが新型コロナウイルスに感染したと報告されています。このトラは飼育員から感染したと考えられています。 他にも数頭の大型猫科動物が感染した可能性があると考えられています。

感染実験や、武漢市での猫の抗体価検査の結果などの報告が中国の大学からされていますが、今の段階では、世界の多くの研究機関は十分な根拠がない(不確かな情報)と考えています。 今後の推移を注意深く見守る必要があるでしょう。


現時点では、東京獣医師会を含め、世界の多くの専門家は伴侶動物を日常的に検査する必要はないと考えています。 繰り返しになりますが、次々に新しい情報が発信されている現時点でも、新型コロナウイルス感染症はヒトからヒトへ感染する病気であり、ヒトからペットに感染した(ペットからウイルスが検出され た)としても、さらにペットがヒトに病気を移す可能性は限りなく低いだろうと、世界中の多くの専門家も含めて考えています。


今後も人との接点があるペットやその他動物に関する様々な報告が行われることが予想されますが、 冷静に情報を取捨選択し、落ち着いて対応くださいますようお願いいたします。 当院としては引き続き、飼い主の方が新型コロナウイルスに感染しないことがペットを守るためにも大事であると考えております。 外出の制限がある中ですが、犬の散歩や短時間の運動については、人込みを避けたルートを選び、飼 い主同士の立ち話や、通行人と犬との濃厚な接触を避けるなどの感染対策を行った上で、そのまま継続してかまわないでしょう。帰宅時には手洗い等の感染対策を忘れないように励行してください。



Q.2犬や猫にも以前からある「コロナウイルス感染症」があります。それは人に感染しますか?

犬や猫にも固有のコロナウイルス感染症があります。 しかしコロナウイルスは「種特異性」※が高いため、これまで犬猫で報告されている 「コロナウイルス感染症」が、人を含めた他の種の動物に感染したという報告はありません。

犬のコロナウイルス感染症の症状は、主に下痢です。猫のコロナウイルス感染症は、始めの症状は下痢です。コロナウイルスが変異した場合に猫伝染性腹膜炎ウイルスになります。これを発症した猫は、命に関わりますが、人には今のところ感染した報告はありません。


※「種特異性」とは 形態あるいは機能のうえで,ある種は共通にもっているが,他の種には認められない特色。例えば、ヒト、サル類は梅毒に感染するが,他の動物は感染しない特性。




Q.3飼い主が新型コロナウイルスに感染した場合、ペット(犬や猫)にはどのように接すればいいですか?

あなたが入院される場合は、ご家族など、他にペットの世話をしてくださる方がいらっしゃるようでしたら、その方にお世話をお願いしてください。


自宅で療養される場合にはペットの体表にウイルスが付着しないようにするために、療養中の部屋 にペットを出入りさせないようにしてください。 また、汚染したマスクやリネン類にペットが接触しないように注意してください。


ご自宅で世話することができないようでしたら、信頼できる方になるべく早くお預けする方が良いと考えます。


ご家族が自宅でお世話する場合も、どなたかに預ける場合も、ペットの体表などを介して感染伝播させないため、ペットはシャンプーすることが望ましいと考えます。


シャンプーをする場合は、お湯が出る勢いを弱くして、毛に当たったお湯がご自身を含む周りに飛び散らないよう工夫するといいでしょう。丁寧にお湯で流したあと、シャンプーをしてあげてください。シャンプー後、ペットを拭いたタオルは一般的な家庭用洗剤で洗濯してください。


世話する方にペットをお渡しする際には、キャリーバッグや首輪、リードなどは、0.05%に薄めた家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、塩素を拭き取るためにもう一度水拭きしてください。


洗濯や消毒などの注意は以下をご参考下さい。



ペットとの別れが辛いからといっても我慢して、抱きしめたりしないよう注意してくださいね。

他にお世話をしてくださる方がいらっしゃらず、ご自身が無症状・軽症である場合には、ご自身でお世話して頂きたいですが、ご自身から他の方に感染拡大しないように、またペットの体表などに付着したウイルスが、他の方の感染源とならないよう注意が必要です。




なお、ペット保険大手のアニコム損保が、コロナ感染者のペットを無償でお預かりする「#StayAnicom」プロジェクトを開始しました。



<#StayAnicom プロジェクトとは>

新型コロナに感染してしまった飼い主さまのためのサービスです。「困ったら、アニコムにステイしてほしい」という想いをもとに発足したこのプロジェクトでは、アニコムの保有する施設の一部を開放し、飼い主さまが隔離や入院をする間、そのペットを無償でお預かりします。お預かりの間は、アニコムの獣医師を中心とした社員有志がお世話します。情報は随時更新しますので、twitterアニコム公式アカウントのフォローをお願いします。



ご希望される飼い主さまの数や、地域、状況によって規模を拡大するそうです。

お申し込みは、以下のURLからお願いいたします。

#StayAnicom|ペットお預かり希望者用フォーム




Q.4飼っているペットが新型コロナウイルスに感染したのではないかと心配です。どうすればいいですか?

ペットが新型コロナウイルスに感染したかどうかを検査する方法は今のところありません。もし、ペットへの感染が心配であるなら、人混みに連れて行かないようにし、できるだけ感染のリスクを減らすよう注意して生活しましょう。新型コロナウイルスに感染していた人とペットが濃厚に接触したことが分かっていて、その後ペットの体調が悪くなった、という場合には、かかりつけの動物病院にまずはお電話でご相談ください。ペットを動物病院に連れていく前には必ず事前に連絡を入れましょう。



Q.5中国やウイルスが見つかったその他の場所からペットフードやオヤツを介して新型コロナウイルス感染症に感染することはありますか?

新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路は以下の通りです。


  • 飛沫感染

  • 接触感染

現時点で(2020年4月11日)、食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は報告されていません。


なお、ペットフードやオヤツの一般的な注意点は、以下の通りです。


  • 生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費は避ける。

  • 生の肉・肉類に触れるときは、手袋をするなど衛生管理に気をつける。



Q.6今、飼い主はどんなことに気をつければいいの?

これまでと同様に、十分に衛生状態を保って、犬や猫と暮らすことです。もし可能であれば、猫ちゃんはこの機会に完全に屋内飼いにすることを推奨します。

また何か不安や心配がある場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。

デマなどにとらわれることがないように、科学的に正しい獣医師会のHPなどを見るなど、正しい情報収集につとめてください。





【まとめ】

我々獣医療関係者が心配していることは、ネットでデマが広がり、犬や猫がウイルスを伝播することを恐れた飼い主によって彼らが遺棄されてしまうことです。日々の報道にパニックを起こすことなく、冷静に対処してください。

飼い主様も動物たちも衛生管理をしっかりして、安全に暮らしましょう。



アリアスペットクリニック





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