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マラセチアは悪者なの?


こんにちは。

アリアスペットクリニック獣医師 皮膚科主任の酒井です。


前回のブログでは、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が増殖することで起こる『膿皮症』について解説しました。


今回は、膿皮症と並んで皮膚科診療でよく遭遇する『マラセチア性皮膚炎』について解説します。


1. マラセチアとは?


マラセチアは酵母(真菌)の一種、いわゆるカビです。

「カビ」と聞くと、どこかから感染してきた特別な病原体をイメージされるかもしれません。


しかし実は、マラセチアは健康な犬の皮膚や耳にも存在している常在微生物です。


普段は皮膚に悪影響を与えることなく生活していますが、皮膚環境が変化すると過剰に増殖し、炎症を引き起こすことがあります。


細胞診で認められたマラセチア
細胞診で認められたマラセチア



2. なぜ増えすぎてしまうの?


健康な皮膚では、皮膚バリア機能や微生物同士のバランスによってマラセチアの増殖はコントロールされています。マラセチアは皮脂中の脂質を栄養として増殖するため、皮膚環境の変化を受けやすい微生物です。


そのため


・アレルギー性皮膚炎

・外耳炎

・皮膚のしわ

・脂漏症

・ホルモン疾患


などによって皮膚環境が変化すると、マラセチアが増殖しやすくなります。


特にアレルギー性皮膚炎では皮膚バリア機能が低下し、皮脂の組成も変化するため、マラセチアが増殖しやすい環境が作られます。


つまり、マラセチア性皮膚炎も膿皮症と同様に、「マラセチアがいること」ではなく「マラセチアが増えやすい皮膚環境になっていること」が問題なのです。





3. マラセチア性皮膚炎ではどんな症状が出るの?


マラセチアが増殖すると、


・強い痒み

・皮膚の赤み

・ベタつき

・独特な臭い

・色素沈着

・皮膚の肥厚


などがみられるようになります。


特に、


・耳

・脇

・股

・首

・指の間

・口唇周囲などの湿気がこもりやすい場所


でよく認められます。

慢性化すると皮膚が黒っぽくなったり、象の皮膚のように厚くなったりすることもあります。


マラセチア性皮膚炎の犬
マラセチア性皮膚炎の犬
マラセチア性皮膚炎の犬
マラセチア性皮膚炎の犬


4. 治療はどうするの?


マラセチア性皮膚炎の治療では、


・シャンプー療法

・外用薬

・必要に応じた内服治療


を組み合わせて行います。


しかし、マラセチアそのものを減らしても、背景疾患が改善していなければ再発してしまいます。


そのため、


・マラセチアを減らすこと

・背景疾患を管理すること


の両方が重要になります。



5. なぜ何度も繰り返してしまうの?


マラセチア性皮膚炎では、治療によって症状が改善しても再発することがあります。

その理由は、マラセチアが増殖しやすい環境が残っているためです。


代表的な背景疾患としてアレルギー性皮膚炎がありますが、そのほかにも脂漏症やホルモン疾患などが関与している場合があります。


そのため、皮膚炎そのものだけでなく、なぜマラセチアが増えてしまったのかを考えることが大切です。



6. まとめ


マラセチアは健康な犬の皮膚にも存在する常在微生物です。


しかし、アレルギー性皮膚炎などによって皮膚環境が変化すると過剰に増殖し、痒みや赤み、ベタつきの原因になります。


そのため、


・マラセチアが増えていないか

・背景疾患がないか

・再発しやすい環境になっていないか


などを評価しながら治療を進めることが重要です。



「ベタベタする」

「独特な臭いがする」

「耳や指の間をよく舐める」


そんな症状がみられる場合は、マラセチア性皮膚炎が関与しているかもしれません。

その際は一度皮膚科を受診してみましょう。



次回は、膿皮症やマラセチア性皮膚炎の治療でも重要となる『シャンプー療法』について解説します。



アリアスペットクリニック

獣医師 酒井

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