top of page

猫の犬歯が伸びた?「犬歯の挺出(ていしゅつ)」とは|実際の症例をご紹介

5 時間前
読了時間: 5分

「猫の牙が、前より長くなった気がする」「左右で犬歯の長さが違う」「犬歯が外側に飛び出してきた」

猫ちゃんのお口を見ていて、このような変化に気づくことがあります。今回は、猫でみられる犬歯の「挺出(ていしゅつ)」について、実際の症例をご紹介します。

一見すると、犬歯が以前より長く「伸びた」ように見えます。
一見すると、犬歯が以前より長く「伸びた」ように見えます。

犬歯の「挺出」とは?

猫の犬歯、いわゆる「牙」は、本来、歯肉や歯槽骨などの組織によって支えられています。しかし、何らかの原因によって歯を支えている組織などに変化が起こると、犬歯が本来の位置から移動し、以前よりも長く、外側に飛び出してきたように見えることがあります。この状態を「犬歯の挺出(ていしゅつ)」と呼びます。実際には、歯そのものが成長して長くなっているわけではありません。歯が本来の位置から移動することで、歯肉から露出している部分が増え、「牙が伸びた」ように見えている状態です。


なぜ猫の犬歯は挺出するの?

猫の犬歯の挺出には、歯を支えている歯周組織や歯槽骨の変化などが関係することがあります。背景として、次のような状態がみられることがあります。


·       歯周病

·       歯周組織の炎症

·       歯槽骨の変化

·       歯の吸収病変

一方で、犬歯の挺出がみられるすべての猫ちゃんで、同じ原因があるわけではありません。犬歯が長く見えるという外見だけでは、歯肉の中にある歯根や、その周囲の歯槽骨がどのような状態になっているのかまでは判断できません。そのため、犬歯の挺出がみられた場合には、口腔内の状態を詳しく確認することが大切です。


実際の症例

今回の猫ちゃんでは、口腔内を確認すると、片側の上顎犬歯が反対側と比較して明らかに長く見える状態になっていました。

左右の犬歯を比較すると、片側の犬歯が大きく挺出していることが分かります。
左右の犬歯を比較すると、片側の犬歯が大きく挺出していることが分かります。

一見すると「歯そのものが伸びた」ように見えますが、犬歯の長さそのものが変化しているわけではありません。

挺出した犬歯を拡大すると、歯肉から露出している部分が大きくなっていることが確認できます。
挺出した犬歯を拡大すると、歯肉から露出している部分が大きくなっていることが確認できます。

このような場合には、見えている歯だけではなく、次の点も確認していきます。

·       歯を支えている骨の状態

·       歯根周囲の状態

·       歯の吸収病変の有無

·       歯周病の進行

·       歯のグラつき(動揺)


犬歯の挺出には歯科用レントゲン検査が重要

犬歯が長く見えていること自体は、口腔内を確認することで分かります。しかし、歯肉の中に隠れている歯根や歯槽骨の状態を、見た目だけで判断することはできません。そのため、必要に応じて歯科用レントゲン検査を行い、歯根やその周囲の状態を確認します。特に猫では、歯の吸収病変など、外から見ただけでは分かりにくい歯科疾患がみられることがあります。「犬歯が長くなった」という変化だけを見るのではなく、その背景にある口腔内の状態まで評価することが重要です。


犬歯の挺出は治療できる?

一度大きく挺出した犬歯を、自然に元の位置へ戻すことは基本的には困難です。ただし、「犬歯が挺出している=必ず抜歯」というわけではありません。治療方針は、次の点を確認したうえで判断します。

·       挺出の程度

·       歯のグラつき

·       歯周病の状態

·       歯槽骨の状態

·       歯の吸収病変の有無

·       痛みや炎症の有無

一方で、歯を支えている組織の状態が悪く、グラつきが強い場合などには、抜歯が必要になることがあります。

今回抜歯した犬歯です。

口の中から見えている部分だけではなく、歯根や歯を支える組織まで含めて状態を評価し、治療方針を決めることが大切です。


犬歯の挺出は放置しても大丈夫?

犬歯が飛び出して見えるからといって、すべてのケースですぐに抜歯などの治療が必要になるわけではありません。一方で、「年齢のせいで牙が伸びたのかな?」と、そのままにしてしまうことはおすすめできません。挺出している犬歯では、その背景に歯周組織や歯槽骨の変化、歯の吸収病変などが隠れている可能性があります。また、猫は口の中に痛みや違和感があっても、それを飼い主様に分かりやすく示さないことがあります。ごはんを普段通り食べているからといって、必ずしもお口の中に問題がないとは限りません。



こんな変化があったら一度お口をチェックしましょう

·       以前より犬歯が長く見える

·       左右で犬歯の長さが違う

·       犬歯が外側に飛び出してきた

·       歯がグラグラしている

·       口臭が強くなった

·       歯肉が赤い、腫れている

·       よだれが増えた

·       食べにくそうにしている

·       硬いものを食べなくなった

·       口元を気にするようになった



まとめ|「猫の牙が伸びた?」と感じたら

猫の犬歯が「以前より長くなった」「外側に飛び出してきた」ように見える場合、犬歯の挺出が起こっている可能性があります。実際には犬歯そのものが伸びているわけではなく、歯が本来の位置から移動することで、外から見える部分が大きくなっています。そして大切なのは、「犬歯が長く見える」という見た目だけの問題として考えないことです。その背景には、歯周組織の変化、歯槽骨の変化、歯周病、歯の吸収病変などが隠れている可能性があります。特に歯根や歯槽骨の状態は、外から見ただけでは分かりません。「そういえば、昔より牙が長くなった気がする」そんな小さな変化が、お口の状態をチェックするきっかけになることがあります。アリアスペットクリニックグループでは、猫ちゃんの口腔内の状態に合わせて、必要に応じて歯科用レントゲン検査を含めた歯科検査を行っています。猫ちゃんのお口や歯について気になることがありましたら、湘南平塚院・西湘秦野院までお気軽にご相談ください。


アリアスペットクリニック湘南平塚

院長

岩上 慎哉

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page