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猫の血液型のおはなし

こんにちは。獣医師の大塚です。


前回は犬の血液型についてお話させていただきました。

今回は猫の血液型について詳しくお話していこうと思います。

犬の血液型の話は覚えていますか?

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犬は私たち人間(ABO式)と違い、「犬赤血球抗原:DEA」で血液型を分けるという話、そしてそのDEAという赤血球抗原は13種類以上あるという話でしたね。


では、猫も犬のように複数の抗原を持ち、特殊な血液型表現をするのでしょうか。

現段階では猫は犬のように複雑な表現はしておらず、人のようにA型やB型などのAB方式で表します。


人とは異なる点として猫の場合はA型、B型、AB型の3種類でO型が存在しません


(近年の報告では、これらの血液型以外にも型があるということがわかってきています。

しかし、今回はあくまで現在メインで調べられているAB方式の血液型についてお話しさせていただきます。)



猫の種類にもよりますが、日本の在来種、いわゆる雑種のほとんどはA型あり、

B型は10%未満、AB型はごくまれだと言われています。

また、犬と同様に品種による保有血液型の違いもあります。


A型の猫ちゃんが多い品種として、

アメリカン・ショートヘアー、

ロシアン・ブルー、

ノルウェー・ジャン・フォレスト・キャット

メインクー

などが知られています。


B型は、

ブリティッシュ・ショートヘア、

スコティッシュ・ショートヘア、

デボン・レックス

ターキッシュ・アンゴラ

など特定の地域原産の猫ちゃんに多いとされています。



前回の犬の血液型のブログで私たち人の血液型のついて少し触れたのを覚えていますか?


簡単におさらいをすると、、、


A型:赤血球にA抗原を持ち、血清中に抗B抗体を持つ。

B型:赤血球にB抗原を持ち、血清中に抗A抗体を持つ。

O型:赤血球にA抗原もB抗原も持たず、血清中に抗A抗体と抗B抗体を持つ。

AB型:赤血球にA抗原とB抗原の両方を持つが、血清中には抗体を持たない。


という話をさせてもらいました。


A型の人は赤血球表面にA抗原を持っていて、血漿中に抗B抗体(B抗原に対する抗体)

を持っているので、B型の血液を輸血するとA型の人の持つ抗B抗体によってB型の赤血球が破壊されてしまい、重い副作用が起きてしまうのです。

もちろんその逆も然りです。


この反応が猫でも重要になってきます。



猫の場合も同様で、

A型:赤血球にA抗原を持ち、血漿中にB抗体を持つ。

B型:赤血球にB抗原を持ち、血漿中にA抗体を持つ。

AB型:赤血球にA抗原とB抗原を持ち、血漿中に抗体を持たない。


となっています。


以下の表に猫の輸血をする際の組み合わせを記載した表を表示しました。

人や犬と同様に血液型を合わせた輸血が絶対原則です。


特にB型の猫ちゃんはA抗原に対する強い抗A抗体を持っていますので、B型の猫へA型の猫から輸血を行うと激しい輸血副反応を引き起こしてしまいます。


かなり稀であるAB型の猫では緊急を要する場合に限ってA型の血液を輸血することがあります。


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ドナー:血液を提供する側 

レシピエント:血液を受け取る側




ーーーー「新生子溶血」について。



猫の赤ちゃんは産まれて初めてのお乳を飲んだ時に激しい貧血を起こすことがあります。


これは母子間の血液不適合で起こる「新生子溶血」と言われるものです。

母乳は母猫の血液から作られるので、B型の母猫の母乳の中にはA型抗原を攻撃する抗体が含まれています。

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この母乳を産まれたばかりのA型の仔猫が飲むと、母乳に含まれた抗体が仔猫の赤血球を攻撃してしまう恐れがあるのです。


そのため、自宅で仔猫を産ませる場合などには母猫の血液型と仔猫の血液型に注意が必要です。




さて、前回から2回にわたって犬と猫の血液型についてお話させてもらいました。


ご自宅のわんちゃんや猫ちゃんの血液型が気になってきた方も多いのではないでしょうか。

当院では院内で血液型検査を実施することができます。


もし、一度検査してみたいと思った方はお気軽にお声掛けください。



次回で私がお話しするわんちゃんや猫ちゃんの輸血に関するお話については最終回になります🙂‍↕️

もう少しだけお付き合いお願いいたします🙌



アリアスペットクリニック

獣医師 大塚

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