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食物アレルギー、本当にその食べ物が原因?― 除去食試験と負荷試験でわかること ―

48 分前
読了時間: 5分


「うちの子、もしかして食物アレルギーかも?」


犬の皮膚のかゆみが続いているとき、食物アレルギーが原因のひとつとして疑われることがあります。


特に、季節に関係なくかゆみが続く場合や、耳や足先などの皮膚トラブルを繰り返している場合には、食物が関係していないかを調べることがあります。


では、食物アレルギーはどのように診断するのでしょうか?



実は、血液検査などの「アレルギー検査」は診断には活用できません。

食物アレルギーの診断で重要なのが、「除去食試験」と「負荷試験」です。



① まずは「除去食試験」


除去食試験とは、これまで食べていた食事を中止し、アレルギー反応を起こしにくい加水分解食などに変更して、皮膚症状が改善するかを確認する方法です。


食物アレルギーが関係している場合、原因となる食物を避けることで、かゆみなどの症状が改善することが期待できます。


でも、除去食試験は、フードを変えれば終わり……というものではありません。


実は、この試験にはご家族の協力がとても大切です。




② 除去食試験は「ご家族と一緒に行う試験」


除去食試験中は、決められた食事以外のものを口にしてしまうと、正確な評価ができなくなることがあります。


例えば、

  • おやつ

  • ジャーキー

  • 歯磨きガム

  • 人の食べ物

  • サプリメント

  • 投薬のときに使う食べ物

などです。


そして、意外と難しいのが、


「お父さんは知っているけど、お母さんは知らなかった」

「おばあちゃんが、いつものようにおやつをあげていた」


といったケースです。


だからこそ、除去食試験を始めるときには、ご家族みんなで「この期間は何を食べていいのか」を共有しておくことが大切です。


「おやつをあげないでください」とお願いするだけではありません。


その子の生活スタイルに合わせて、


どうしたら無理なく続けられるかを、ご家族と一緒に考えていきます。


例えば、


「どうしてもご褒美が必要なんです」

という場合には、試験に影響しない方法を一緒に考えることもできます。



③ 「良くなった!」だけでは、まだ食物アレルギーとは限りません


除去食に変更して、


「かゆみが良くなった!」

となると、「やっぱり食物アレルギーだったんだ」と思うかもしれません。

しかし、除去食で症状が改善しただけでは、食物アレルギーと確定することはできません。


皮膚症状は、季節の変化や皮膚の感染症、治療薬など、さまざまな要因によって変化するためです。


そこで重要になるのが、次のステップです。



④ 「負荷試験」で本当に食物が原因なのか確認する


負荷試験とは、除去食によって症状が改善したあとに、以前食べていた食事や特定の食材を再び与え、症状が再発するかを確認する試験です。


例えば、


除去食に変更

↓

かゆみが改善

↓

以前の食事・食材を再び与える

↓

かゆみが再発

↓

食物が原因である可能性が高い


という流れです。


さらに、再び除去食に戻して症状が改善することを確認することで、食物との関連性をより明確にすることができます。


つまり、


「除去して良くなる」だけではなく、

「食べさせると悪くなる」ことまで確認する


ことが、食物アレルギーの診断では重要です。



■除去食試験前


除去食試験前
除去食試験前

除去食試験前
除去食試験前


■除去食試験開始2ヶ月後


除去食試験開始2か月後
除去食試験開始2か月後
除去食試験開始2か月後
除去食試験開始2か月後



⑤ 血液検査で食物アレルギーはわかる?


ここは非常に重要なポイントです。


食物アレルギーの診断に、血液検査などのアレルギー検査は活用しません。


「この食材が陽性だったから、この食材がアレルギーの原因」と判断することはできません。

食物アレルギーの診断では、検査結果だけを見るのではなく、


実際に食事を変更したときに症状がどう変化するのか

を確認することが基本となります。



⑥ 私たちと一緒に、無理なく進めていきましょう


除去食試験は、数日だけ頑張れば終わるものではありません。


そのため、


「ちゃんと続けられるかな?」

「家族全員で管理できるかな?」

「薬を飲ませるときはどうしたらいい?」


と、不安に感じることもあると思います。

でも、完璧に一人で頑張っていただく必要はありません。

診察の中で生活スタイルやご家族の状況を伺いながら、


「どうしたらこの子とご家族が無理なく続けられるか」


を一緒に考えていきます。

そして、症状の変化を一緒に確認しながら、次のステップへ進んでいきます。



■まとめ


食物アレルギーが疑われる場合には、


① 除去食試験

アレルギー反応を起こしにくい加水分解食などに変更し、症状が改善するか確認する。

↓

② 負荷試験

以前の食事や食材を再び与え、症状が再発するか確認する。

↓

③ 食物との関連性を判断

「除去すると良くなる」「食べさせると悪くなる」という変化から、食物が症状に関係しているかを判断する。

そして、この試験を正確に行うためには、ご家族みんなの協力が欠かせません。

食物アレルギーの診断は、病院だけでできるものではありません。


私たち獣医とご家族が一緒になって、毎日の食事と皮膚症状の変化を確認しながら進めていくことが大切です。


「食物アレルギーかもしれない」と思ったときは、自己判断でフードを次々に変更するのではなく、ぜひ一度ご相談ください。


その子の生活とご家族の状況に合わせながら、一緒に診断を進めていきましょう。



アリアスペットクリニック

獣医師 酒井


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