皮膚科獣医師コラム『膿皮症ってどんな病気?』
- 酒井 優歩

- 6月18日
- 読了時間: 3分
更新日:7月28日

こんにちは。
アリアスペットクリニック獣医師 皮膚科主任の酒井です。
前回のブログでは、アレルギー性皮膚炎によって皮膚のバリア機能が低下し、外耳炎が起こりやすくなることをご紹介しました。
今回は、アレルギーによって弱くなった皮膚で起こりやすい『膿皮症』について解説します。
1. 膿皮症とは?
膿皮症とは、皮膚に細菌が増殖することで起こる皮膚感染症です。
犬では主にブドウ球菌という菌が関与しており、
・赤いブツブツ
・膿をもった発疹
・かさぶた
・脱毛
などの症状がみられます。
特にお腹や脇、股の周囲などでよく認められます。


2. なぜ膿皮症になるの?
ここで大切なのは、細菌がいること自体が異常ではないということです。
実はブドウ球菌は健康な犬の皮膚にも存在する常在菌です。
健康な皮膚では様々な細菌がバランスを保ちながら存在しており、通常は問題を起こしません。
しかし、アレルギー性皮膚炎になると皮膚のバリア機能が低下し、皮膚表面の常在細菌叢に乱れが生じます。するとブドウ球菌が過剰に増殖しやすくなり、膿皮症を発症します。
つまり、膿皮症は単なる感染症ではなく、背景にあるアレルギー性皮膚炎などの影響を受けて発症することが多い病気です。

3. 膿皮症の治療は抗菌薬だけではありません
膿皮症の治療というと、「抗菌薬を飲む病気」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし近年では、軽症から中等症の膿皮症ではシャンプー療法や外用薬などの局所療法を積極的に活用することが推奨されています。
病変が一部に限局している場合には、抗菌薬を使用せずに改善できるケースも少なくありません。これは薬剤耐性菌の発生を抑え、将来的にも有効な抗菌薬を使い続けるためにも重要な考え方です。
4. 抗菌薬が必要になる場合
一方で、
・病変が広範囲に及ぶ場合
・深部まで感染している場合
・局所療法のみでは改善しない場合
は抗菌薬による治療が必要になることがあります。
また、治療を繰り返している症例や治療反応が乏しい症例では、細菌培養検査や薬剤感受性試験を実施し、原因菌に有効な抗菌薬を選択することが重要になります。
5. なぜ何度も繰り返してしまうの?
膿皮症では細菌感染を治療することも大切ですが、それだけでは再発してしまうことがあります。
その理由は、皮膚表面で細菌が増殖しやすくする背景要因が残っているためです。代表的なものとしてアレルギー性皮膚炎が挙げられますが、そのほかにもホルモン疾患や寄生虫感染、体質的な皮膚の異常などが関与していることがあります。
感染による赤みや痒みは改善しても、背景要因が残っていれば再び細菌が増殖しやすい環境になってしまいます。
そのため、
・感染を治療すること
・背景疾患を見つけること
・再発予防のためのスキンケアを行うこと
のすべてが重要になります。
6. まとめ
膿皮症は細菌による皮膚感染症ですが、細菌だけが原因ではありません。
その背景にはアレルギー性皮膚炎やホルモン疾患などの病気が隠れていることがあります。
また近年では、膿皮症の治療は抗菌薬だけに頼るのではなく、シャンプー療法や外用薬を組み合わせながら治療を行うことが重要と考えられています。
・なぜ膿皮症になったのか
・なぜ繰り返しているのか
・背景疾患がないか
を評価しながら治療を進めていくことが大切です。
次回は、膿皮症と並んでよくみられる皮膚トラブルである『マラセチア性皮膚炎』について解説します。
アリアスペットクリニック
獣医師 酒井







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